[11] エドキン |
- 白鈴 - 2004年12月03日 (金) 21時34分
顎を掴まれた。 それは、見たくないと視線を反らしたせいで。 「こっち見ろよ…」 そんな声と共に、掴まれた顎へと力も込められる。 顎が痛い。けれど振り切って再び顔を反らすことは出来なかった。 見下ろしてくる、自分を真っ直ぐに見つめてくる視線が、それをさせてくれないからだ。 睨まれているわけでもない。咎められている様子にも見えない。 ただ静かな声と共に、細められた瞳の。その長い睫の奥の金色の瞳に、自分は見惚れてしまったのだろう。 綺麗すぎて、惹かれすぎて、目が反らせないなど信じられない事だった。 自分はいつの間に、このたった15の子供に。 心を奪われているのだろうか。 「次に目反らしたら…」 緊張した。 子供の発する言葉が、次に何を紡ぎだし。自分に対して命令してくるのだろうか、と。 「入れてやらねぇよ?」 欲しいだろう? 少年の発した言葉に、無意識に。 ごくりと、喉を鳴らした。
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