[4] 気まぐれキン受(囚人キン) |
- 白鈴 - 2004年11月18日 (木) 18時47分
誘ったのは自分からだ。 それは脱獄の機会を狙っていたからだというのに、なかなかうまくはいかないものだと実感させられる。 押さえつけられた体は、労りなど持って接しられるはずもなく、ただ痛みだけが体を支配していく。だが世の中には便利なものもあり、飲まされた薬が効いてきたのかその痛み以上の快感が体の中を支配していった。こんな趣味はなかったはずだがと思いながらも、ほらと差し出されたものに舌を這わせた。独特の苦みを感じされるそれに、早すぎるんじゃないですかと言えばうるせぇよと言う声と共に頬に痛みが走った。 人間、弱いものほど暴力を振るう。痛みは嫌いなんですけどねと思いながら、絶頂を促すように舌を動かせば、呻き声を上げながら男が達する。その様は滑稽だった。昼間散々人を虚仮にする言葉ばかり述べる男が、夜は自分の体を求めて鍵を開けて自分を連れだしていく。 連れて行かれる場所は男の休憩所だったのだろうか。広くない部屋は、最初は一人だけだったはずが次第に人数を増やしていった。その一人一人に視線を送り、じっくりと顔を覚えていく。いつか脱獄したときに、自由になったときに、真っ先にする腕試しの『材料』として選ぶために。 だから今は、好きにすればいい。 「これで終わりですか?」 そんなものじゃ、ないでしょう?
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