(245) 迷いのない未来へと◆◆槇原敬之--EXPLORER◆◆ |
投稿者:nabes
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やっと、聴きたかった槇原敬之の新作『EXPLORER』 を借りてきた。明らかに名作と呼べる作品であり、 彼のキャリアで新たなステージにやっと、到達した 飛躍の作品であるといってよいだろう。
御存知の通り、もしも死んだ時、スポーツ紙の一面 を飾るに相応しい代表的な作品『世界に一つだけの 花』を産み出し、それのセルフカヴァーも収録して あるのも勿論だけれど、、全ての時代の邦楽のいい ところをごった煮的に混ぜ合わせ、普遍で自然なメ ロディラインを奏でた作品、聴いてみると「ああ、 僕らの求めていたマッキーは、やっぱりこれだった んだよね」と再確認してしまう黄金のポップソング 集といえるだろう。
やはり、彼のいいところというのは、その日本語徹 底主義な部分かもしれない。洋楽への傾倒も半端な ものではないのは、過去のMAKIHARA名義の時に確認 できるのだが、それを消化して、なお日本人として、 色んな表情や風景の入り組んだ、素敵な言語である 「日本語」を巧みに使いこなし、そこに挫折や苦悩 も乗り越えた、突き抜け感を歌の中で表現できると いうのは、やはり生っ粋の歌い手であり、表現者な のだろう。本当に、本当に「おかえり」といってあ げたい。そんな気持ちでいっぱいである。
なのに、なの〜に!何故にベストなんかと同時発売 してしまったのだろうか?これが制作側の意図だと したら、ハッキリいえばビッグ・ミステークだと思 われる。だって、そうでしょう?彼のキャリアの中 でも1、2を争うポップ・アルバムを作り出したの だから、それ1本で勝負させてあげたかったなぁ。 ここまでいいものを作ったのに、それでもなお、制 作側は槇原敬之を信用できていなかったのだろうか。 それとも、ここまでいいのを作った便乗商売として、 彼の今までのキャリアを総ざらいするつもりだった のだろうか?ああ、それもあり得るなぁ。何といっ ても、あの事件で彼のCDは一時、全撤去されたこと もあるのだからね。でも、それは一時、このアルバ ムの行く末を見守ってからでも遅くはなかった気が するわけですよ。やっとのことで、ここまで築きあ げてきた彼のリハビリを台なしにしてしまったよう な気がするわけですが、皆様はいかがでしょう。
まぁ、というわけで結構CD屋のランキングとか見て も、勿体無いことにこの作品はベストの後塵を押す 結果になっているみたいである。まぁ、見方を変え れば、どっちから聴いても楽しめますよ、という相 乗効果を産み出しているわけでもあるのだが。
「僕のあげたもので たくさんの人が幸せそうに 笑っていて それを見た時の気持ちが 僕の 探していたものだとわかった。
今までで一番素敵なものを 僕はとうとう拾うことができた。」 (僕が一番欲しかったもの)
ここまで悟ったというのに。こんな素敵な表現の原 点に返って、かつとんでもないフレーズ(そしてメ ロディ)が生まれたというのに。彼が欲しかったも のは、華々しい過去ではない、表現できる自由を取 り戻した現在、そして未来なのだ。とりあえず、僕 は彼に最上級の賛辞を送りたい。迷いのない表現者 ほど素晴らしいものはない。やっと、帰ってきたね、 おかえりなさい、と。
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2004年11月07日 (日) 08時33分 |
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