そう、全てはこの曲から始まったといってもよい。
低迷が続いたアイドル業界に風穴を開ける一代名作
である『LOVEマシーン』。この曲でモーニング娘。
（以下娘。）はトップ・アイドルとして、スタート
を切った。いや、もちろん下地というのは、『抱い
て！HOLD ON ME』で仕上がっていたわけだが、ゴマ
キ加入前と加入後という歴史になぞらえると、やは
りこの曲は黎明の娘。ということになる。まぁ、ど
ちらにしても、『LOVEマシーン』以降は、檻から放
たれた野獣の活躍を見せてくれる。『恋のダンスサ
イト』なんて、その最たる例であろう。曲の最後に
メンバーからふと漏らされた「動物園みた〜い」と
いうアドリブは、それを残したスタッフの気持ちを
見事に代弁してくれた。

娘。の『ベスト！モーニング娘。１』をなんとなく
借りてみて改めて娘。の足跡を回想していたわけだ
が、とにかく見事なモンである。少し前にベストの
２も出たわけだが、やはり絶頂期ともいうべき、１
の作品群は自分の心の中にある種の感動を呼び起こ
してくれる。

そんな中、リーダーでもあり、第一期の娘。に在籍
していた、最後の一人である飯田圭織がいよいよ脱
退することになってしまった。つまり、ASAYANで公
募、結成されたオリジナルのモーニング娘。はいよ
いよ姿を消そうとしている。時は遠くなりにけり、
というやつなのだろうか。いよいよ、僕はある種の
決別をしなくてはならないのかもしれない。そう思
うと、この雑文にて書いておかなければならない、
そんな必要に駆られた。

もともと、そこまで娘。派ではなかった。どちらか
というと、鈴木あみの方が好きだった。何故かとい
うと、その頃、垢抜けなかったんだよね、アイドル
として、不可欠である容姿の面で遅れをとっていた
ように思える。ASAYANのストーリーー展開もなんか、
泥臭いというか、人間味の方を重点的に捉えていた
ように思える。聞き返すと、つんくの作風にもまだ、
シャ乱Ｑぽさが抜けきれていないように思える。

やはりゴマキということになるのだろう。明らかに
毛色の違う転校生を前に、ストーリーラインから曲
の作風まで、大幅な軌道修正を迫られたつんく、AS
AYANスタッフの逆転の一打、それが『LOVEマシーン』
であった。この「えじゃないか」的なゲリラソング
は、世紀末の日本によく似合う終末思想を笑い飛ば
す作品であった。こうなると、僕のアンテナも娘。
に向かざるを得なくなってしまった。操られて動く
娘。達も、腹を決めればノーフィアーである。ぐん
ぐん、彼女達の容姿にも変化が訪れていく。新メン
バーにもある程度の容姿が求められていく。こうし
て、娘。は今の位置を手に入れたといってよい。
このアルバムには、そんな過程もドラマ的に並べら
れて、構成の部分でもお腹一杯の出来である。

そんな僕が彼女達の曲で一番好きなのが『I WISH』。
娘。の勝利宣言を高らかに歌い上げた作品は、アッ
パー感と泣きが混然一体となり、思わず泣きそうに
なる。「人生って素晴らしい」といえる人間の姿は
美しく、容姿だけでない彼女達の美しさに拍手を送
りたくなる。

この先、娘。周辺は戻れないところまできてしまっ
ている。巨大ビジネスと化し、未来の娘。を養成す
る組織まで出来て、若年化の一途を辿っていくのだ
ろう。破壊、創造をくり返し、どのような一手を打
ち出していくのか、また「人生って素晴らしい」と
心からいえるような作品に巡り合えるのか、遠巻き
ながら見つめていようと思う。

最後に、娘。を愛する全ての人へ

人生は素晴らしい、それを教えられた時点で
あなたの気持ちに間違いはありません。たとえ、
それが自分より遥かに年下の女の子の集団だとしても。