[2311]
能見完封
|
|
投稿者:津名シュート
|
(2009年04月26日 (日) 21時38分) |
|
◆広島0−4阪神(24日・マツダスタジアム)開幕から18試合目、真弓阪神に頼もしい左の柱が誕生した。5年目の能見が、7回まで毎回の8安打を浴びながらも、10三振を奪って広島打線を完封。今季チームで初めて、9回を一人で投げきった。キャンプ2軍スタートからアピールを続けてきた左腕が、2007年8月18日の広島戦(京セラD)以来、615日ぶりのゼロ封で2勝目をマークした。
ラスト149球目も、能見は涼しい顔で投げ込んだ。東出を二塁へのハーフライナーに打ち取って、615日ぶりのシャットアウト。チームで今季初の完投。「完封? たまたまですよ。走者を出しても、何とかホームにかえさないようにと思ってました」虎投の救世主は、ウイニングボールをそっと黒いグラブにしまった。
7回まで8安打を浴び、毎回走者を許した。それでもMAX147キロの速球で内角をえぐり、フォーク、チェンジアップが効果的に決まった。「点を取られるまで、行ってもらおうと思ってた。言うことない」真弓監督の頭に、継投は一切なかった。4回をのぞく毎回の10奪三振。11日の巨人戦(東京D)以来、今季2度目の2ケタ三振で30奪三振とし、セ・リーグのトップに立った。
昨季はプロ入り初めて勝ち星がなかった。5年目を迎えた今季は、2軍の高知・安芸でキャンプインを迎えた。ところが、2月6日に久保田が右肩関節炎で離脱し、急きょ1軍行きの切符が転がり込んできた。
本来はスリークオーターだが、やや腕を下げた位置からも変化球を投げるようになった。さらに、今までになく内角を突く攻めの投球で、首脳陣に生まれ変わった姿を印象づけた。「よく腕が振れてるし、もう大丈夫。大崩れしないやろ。今年は(米オバマ大統領にあやかり)『CHANGE』でやってきたけど、次の言葉を考えなアカンな」山口投手コーチも大化けに目を細めた。
能見には感謝する存在がいる。オフの右ひじ手術の影響で2軍調整中の矢野だ。マスコミを通じて、たびたび自身の名前を挙げ、期待をかけてくれていた。早期復帰を目指すベテランに成長した投球を受けてもらうためにも、虎のドクターKはこれからも三振の山を築き上げる。
◆能見アラカルト
▼生まれとサイズ 1979年5月28日、兵庫県生まれ。180センチ、75キロ。左投左打。
▼球歴 鳥取城北高から大阪ガスを経て、2004年のドラフト自由獲得枠で入団。
▼郷土愛 05年1月、前年10月に台風被害にあった出身地の兵庫・出石(いずし)町に100万円を寄付。母校の出石中野球部にはピッチングマシン1台と軟式ボールをプレゼント。
▼プロ初完投 05年5月8日の日本ハム戦(札幌D)、9回1失点で2勝目。開幕33試合目でこのときもチーム初の完投。
▼ポスト井川 06年オフにエースの井川がポスティング移籍。岩田、小嶋、筒井らとその座を争ったが、07年は4勝4敗と期待外れ。昨年も勝ち星なし。
▼俳優経験も 社会人時代の02年に公開された阪神をモチーフにした映画「ミスタールーキー」にエキストラで出演。同じ背番号14のユニホームで演じたのは、阪神が7連敗中で、マウンドで痛打されるシーンだった。
|