「マリーベル」について
何度読んでもやっぱり一番心に残るのは
最後のジュリアンの死です
この設定は最近まで10年以上読んでなかったのに
しっかり覚えてたくらい・・・
(なんたって読み返すまで前半のメインキャラ、レアンドルの
存在をすっかり忘れていました(^^ゞ)
初めてマリーベルを読んだ小学生のときは
マリーベルのためとはいえ、
見ず知らずの恋敵ロベールの身代わりになって
撃たれて死ぬなんてありない!なんて思いました
(その前に、ジュリアンよ、たった一枚の絵皿に
負けてフランスを離れたのになぜ戻って来てんの???
とつっこみたくもなりますが・・・^_^;)
マリーベルには最後の瞬間もロベールと
勘違いされてしまうし・・・
一体全体マリーベルにとって、ジュリアンはどういう存在?
と思わずにはいられませんでした
今大人になって読み返して思うことですが
ジュリアンの登場は仮にもし中盤の恋愛話だけだとしたら
あまり意味をなさないと思うわけです
(あくまで総論的にですが)
ロベールとレアンドルがマリーベルの人生に与えた影響は
計り知れないほど大きいけれど(作中でも語ってるし)
別れた時点でジュリアンは彼女に人生のベクトルを示していない
ああ、だから振られたのかなと・・・
要するに2人の恋愛話終了時点では
失礼ですがあまり意味のないキャラだったのかなと思うわけです
(あくまで総論的にです)
ジュリアンをロベールそっくりに設定する必要もないですし
でもそこはさすが上原先生!衝撃的です
2人がそっくりであることには意味があったのです
そして最後の最後にジュリアンの再登場&自己犠牲・・・
結局ジュリアンはマリーベルに
ロベールとレアンドルが与えてくれた以上の、
それは自分の命と引き換えになってしまったけれど
同時に(もしかするとロベール以上に)
主人公マリーベルの本当の幸せを
自分の手で与えることができたキャラになったのかなと・・・
だからこそ上原先生の作品史上
もっとも記憶に残るキャラの一人になったと思うのです
と思えば「マリーベル」は非常によくまとまっている
お話だなと今更ながら思います
この突然のジュリアンの再登場と死があったからこそ、
「マリーベル」という長編物語は最後にあれだけ盛り上がって
物語上の矛盾もほとんどなく完結してるのだと
そして「マリーベル」は
読者に今後の想像の余地を残す物語というより
このジュリアンの件に思い起こされるように
読者に余韻を残すお話だっなーと・・・
そういう意味でも「マリーベル」本当に良い作品の1つだと
思える今日この頃です