◎長周期地震動:高層ビルの10階以上の防災:その2
昨日の東京消防庁資料抜粋が基本なんですが、自分が気になる点と対策を三点まとめます。
1、自分が住んでいるタワーマンションに長周期地震動の免振装置はついているのか
高層ビルを設計する際に,現行建築基準法の構造基準である「 短周期地震動 」では
1秒間に揺れる幅を最大80センチ,揺れの長さを60秒以上と想定して構造計算をしていますが,
今後の新築建物については「 長周期地震動 」に耐えられる様に建物の揺れる幅を最大1メートル60センチで,
揺れの長さを500秒以下とする新しい構造基準をつくるそうです。
国土交通省によりますと,3大都市圏と静岡に高層ビルは現在約2000棟有るという事です。
その内の約400棟は新基準よりも小さな揺れの想定で設計されているとの事で早めに新基準を作成するそうです。
新基準に満たない恐れがある既存のビルに対しては耐震診断を促し,制震装置の設置や柱の強化等の補修が必要な場合に於いて,
費用の最大3分の1を助成する方針だそうです。
特に,国土交通省は,南海トラフ巨大地震による「 長周期地震動 」対策として,
高さ60メートル( 約18階建て )を超える超高層ビルの耐震性を強化すると発表致しました。
今後は新築建物の構造設計の基準を見直し,そして既存の建物には「 長周期地震動 」対策に向けて補修費用の助成をする事に致しました。
この件は2017年度までに制度改正し,実施するそうです。
(建築家 碓井民朗の良識あるマンション指南より抜粋)
この報告を読むと、今のタワーマンションは大丈夫か不安となります。
調べてみると、現状では、「ブレーキダンパー」があるかどうかなども参考になります→こちら
http://www.obayashi.co.jp/service_and_technology/pickup0162、自分のマンションや職場のエレベータは巨大地震発生時に、止まりっぱなしなのか
「 エレベーター 」に「 自動診断・自動復旧システム 」設置有無の確認をしてください。
通常の「 エレベーター 」では震度5程度の地震が起きますと「 P波センサ付地震時管制運転システム 」に依り,
地震の大きな揺れがくる前の初期微動( P波 )で感知致しまして,全てのエレベーターを最寄り階に停止させ,戸開し乗客が降りられる様になっています。
そして問題になっておりますのが,地震発生後に地震の揺れが止まりましても「 エレベーター 」は動かない事です。
「 エレベーター 」の復旧作業は訓練された専門技術者が安全に行うことが重要でありまして,全ての保守及び点検が済むまでエレベーターは運転休止となっております。
その結果,マンションやビルの利用者には多大な不便をかける事態が発生したのです。
「 エレベーター 」の復旧作業の為に訓練された専門技術者が直ぐ来てくれれば良いのですが,
大抵の場合早くて4~5時間後で遅ければ2~3日後以降になり,その間「 エレベーター 」は使えないのです。
マンションの「 エレベーター 」に「 自動診断・自動復旧システム 」が採用されているか否かを確認してください。
震度5程度の地震が治まった後に,自動的に「 エレベーター 」内に人が乗っていない事を確認し,
自動診断運転( 正常時の運行データとの照合等 )を行い,異常なしの場合は約30分後程度で運転を再開する機能を持つシステムの事です。
このシステムはあくまでも仮復旧で「 エレベーター 」の正常なスピード等で運転を行うものではなく,
最終的には正式な復旧作業を行いますのは先程も申し上げました様に,訓練された専門技術者が徹底的に点検及び保守を致しまして
「 エレベーター 」の安全な正常運行が行える様にする事です。
仮復旧でもマンションやビルの利用者にとっては「 エレベーター 」が1台でも動く事はとても有りがたい事です。
(建築家 碓井民朗の良識あるマンション指南より抜粋)
3、家具転倒防止対策の具体的方法
1番目の方法は置き家具の上板と天井の間に「 転倒防止用突っ張り棒 」等で固定する方法です。
「 転倒防止用突っ張り棒 」を天井に固定する場合注意しなければならないのは天井ボードの上に
野縁( のぶち:天井板などの仕上げ材を取り付けるための格子状の下地材 )が組んであり,その野縁の位置の下に「 転倒防止用突っ張り棒 」を固定しなければなりません。
格子状の野縁の位置で無い天井ボードの位置に「 転倒防止用突っ張り棒 」を固定致しましたら,ちょっとした地震の揺れで天井ボードを突き抜けてしまいます。
この野縁の位置を探す方法は長いピンか細い錐( キリ )で天井ボードを下から刺してみまして,ピン等が突き抜けない所に野縁が有りますので試して下さい。
2番目の方法はL字型をした「 家具転倒防止金具 」で壁に固定する方法です。
置き家具の上板と間仕切り壁とをL字型をした「 家具転倒防止金具 」を用いてビスで固定するのです。
この方法も先程と同様に注意が必要です。間仕切り壁のボードにビスを留めても直ぐにすっぽ抜けます。
間仕切り壁の中に間柱( まばしら:壁を構成する垂直材 )が30センチ~45センチ間隔で入っていますのでその位置にビスを留めなければなりません。
間仕切壁の表面から間柱の位置は分りませんので,先程の様に細い錐状の物で何箇所か刺して突き抜けない所が有ります。
そこが間柱の位置です。その位置の垂直方向に間柱が入っていますので置き家具の高さ寸法等に合わせてL字型「 家具転倒防止金具 」を置きビス留めが大切です。
ここで,感心致しますのは,最近良心的なデベロッパーは
新規分譲マンションの間仕切り壁のボード裏に9ミリ~12ミリ厚さのベニア板を床上1.5m以上に入れ「 家具転倒防止対策 」を事前に行なっています。
ボード裏にベニア板が設置してあればビスが留まりますので安全です。
(建築家 碓井民朗の良識あるマンション指南より抜粋)
以上、まとめますと、
◎自分が住んでいるタワーマンションに長周期地震動の免振装置はついているのか
◎自分のマンションや職場のエレベータは「自動診断・自動復旧システム 」がついているのか
◎家具転倒防止対策として、間仕切り壁のボード裏に補強材(ベニア板など)があるか否か
タワーマンションや職場が高層ビルにある皆様は、デベロッパーなどに聞いてみてください。