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■Voice From おーはし■

ちわっ!みなさん。
このコラムコーナーは、俺が日頃思っていること
…例えば、舞台や映画を観ての感想や音楽を聴いて感じたこと、
小説を読んで思ったこと、道を歩いていて気づいたこと、
ごはんを食べての満腹感、まる半日寝た後の爽快感などなど、
そんな日々のあれこれを、どくだんとへんけんにミチミチて
語ってしまおうというものです。…もちろん、ケトイシのことも!

不定期更新。気が向いたトキが更新日。

━ 2002.11.19 OPEN ━

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voice97■小説『イン・ザ・プール』


    RES 
-------------------------------------------
[163]おなまえ:おーはし
------------------------------------------------
ある映画評を読んでいたら、月末公開の
『イン・ザ・プール』について書かれてあった。
なかなかおもしろそうな映画。

そう言えば、劇場で映画を観たのはいつ以来だろう?
…確か『ゼブラーマン』が最後だったから…
…うむぅ…
…むらむら…
何だか百年以上も映画を観ていない気がして来た。

よし、観よう!
これ、観よう!
そう決めると公開まで待ち切れない。
間があるので、ついでに原作小説も読もう。
そのまたついでに、シナリオも読んでやろう。

という訳で、奥田英朗『イン・ザ・プール』の始まり。
…でも始まる前には注意が必要。

こういうコメディータッチの小説で、
ある程度の設定が想像の付く作品の場合、
「これはおもしろいんだぞ〜」
という頭で読み始めるとほとんどが失敗する。
気持ちが先行して、読んでいて空滑りするのだ。
笑おうとし過ぎるのね。

気を付けるべし。

…で、読み出したら…

いらん心配じゃった。

おもしれぇ〜れぇ〜れぇ〜〜〜〜〜〜!

主人公は神経科の医学博士・伊良部一郎。
彼のもとへ、5人の心の病を持つ人々がやって来る。
つまり五つの物語でこの本は構成されている。

P12、医学博士伊良部先生の発言。
「たとえばの話だよーん。あっはっは」
まずここでぶっ飛んだ。

だよーんって言ってるよ〜!!!
だよーんって書いてあるよ〜!!!

前後の繋がりをここで書くのはこれから読む人に
失礼だし、奥田さんも困ると思うので遠慮するが、
とにかく「だよーん」と書いてある事実に
俺は引っくり返った。完璧吹き出した。

だよーんって書いてあるよ〜!!!
あんだよ、こいつぅ〜ぅ〜ぅ〜!!!

とにかく全編、伊良部先生のキャラがいい。
こんな馬鹿げている精神科医がいい。
そして不思議な事に、妙に治ってしまう患者もいい。
そう、これで患者は回復に向かうから本当に不思議だ。

…うそっぽい?
…うそっぽいね。
ちょっと気になったのはその辺かな?

伊良部先生は、
心の病は否定しても始まらない。
肯定して行く事から始まる。
そしてカウンセリングなんか何の意味も
持たないと考えているらしい。
…現実の現場ではどうなんだろ?

今のところ、精神的には健康なつもりの俺は、
「くよくよすんなよ」で心の問題は快方へ…
な〜んて思うのだが、
実状はそう簡単じゃないだろう。
当たり前だ。
くよくよで解決なんて平和過ぎ!

が…。

笑いながらこの伊良部という医者に
付き合っていると、何だか分からなくなって来る。
…ひょっとしてそれでいいの?

ま、人にとって、くよくよしない事が
難しい事だからなかなか大変なのだろうが…。

そういう意味では、
この伊良部という医者自体がくよくよとかの
領域とは全く正反対の所にいるからだろうかねぇ?
…ちょっとこれってきーぽいんと?

こんな事を考えるのも、この小説が単なる
コメディーでは無いからだろう。
携帯依存症の少年の話にはものすごくリアル感が
あるし、コンパニオンの自意識過剰ぶりには、
男の俺でも女性の深層心理みたいなものが伝わる。

なぜ伝わるか?

それはもう、この奥田英朗という作家の
軽く書いていながら、
執拗にその心理と行動を描写する力量に尽きる!

煙草の火を気にする強迫神経症の男の話なんか、
俺的に痛かったな〜。
…この人物ほどじゃないけど、
俺は鍵閉めに異様な執念を燃やすのだ。

外出時のドアの鍵は必ず二回は確かめる。
その後、歩き掛けた時に、もう一度戻って確かめる。
つまり三回は最低確認する。
それでも気になる時がある。…もう一度戻ろうか?

ま、それ以上の事はやらないけど、
この話には妙に説得力があって、けっこう怖かった。
また、説得力があるような書き振りなのだ。

そして、何よりも肝心な事。
この作品、お説教臭くない。

このような小説は下手に展開すれば、
作者のメッセージ性がちょっと鼻につく場合があるが、
それが無いのがうれしい。
言いたい事は匂う。でも、決して鼻にはつかない。
伊良部先生もまともな事を言う時があるが、
ちょろっと言うだけ。はい、おしまい。

そんな事より、
彼は患者と豊島園に行く事がお好みなのだ。
(笑)(笑)(笑)

読み終わった俺は、さっそくシナリオ本を読もうと
思ったがやめた。―その前に!

同じく伊良部先生が活躍する『空中ブランコ』に突入。
これ、奥田さんの直木賞作ね。
…わぉ〜ぉ〜ぉ〜ぉ〜!
ますます伊良部キャラに磨きがかかっているぞー!

これってあれ?
伊良部先生依存症???


2005年05月12日 (木) 22時34分





voice96■オーティスライブ!


    RES 
-------------------------------------------
[162]おなまえ:おーはし
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大体の“能無し向上心人間”は、負けが込むと
てめぇ!
とか
燃えるぜ!
とか
やったろ!
とか
勝つしかないじゃんよ!
とか
言い出す。思い出す。
(俺もその一味ね)

取り敢えず今は運に乗っている、
勝ち込み人間もそういうところがある。
…能無しな人々の場合は。
さらに輪をかけて勝ちたいのね。

でも、そういう事って何だろ?
…なんだかおもしろくない。

ちょっと粋じゃないような。
すいすいす〜だららった、
じゃないような。
…そう言えば植木さん、どうしているんだろ?
最近あんまり見ないけど。
お元気でいて欲しいなぁ〜。

話は変わり、
「これは古いやり方だから今に合っていないのよ!」
という能無しもいる。
(仕事場のおばちゃんが言ってた。笑)

そんな時、俺は思うのだ。
「あんたはそのやり方が嫌いなだけじゃないの?」と。

時代、世代、古さとかを自己保身に使う人って
意外と多い。

新しいのが機能的であり合理的であると
頭っから決め付け、古いものを否定し、
新しさを賛美すればそれでいいと思っている人。
新しさこそがすべてを解決するのだと、
新しさを振り回し、そこにあぐらをかく人。

でもそう言われるとなんだか納得してしまうのも人間だ。
新しいものに人は弱いのよ。

けどちょっと待て。
古い事はいけない事?

オーティス・レディングのライブアルバムの題名、
『ヨーロッパのオーティス』

…なんじゃそら?
…まんまじゃん。
…ヨーロッパで演奏したからねぇ。

でもなるほど。
すばらしい。
題名とは無関係にうなづける。

歴史的ライブ名盤。
その触れ込みで聴いている俺。

すごいよ、この熱。
熱。
熱。

びっくりまーくを使えないほどの【熱】。

!←NG。

俺は野球好き。で、その野球のイチローも
沖縄のゴルフ娘も中国クラブ在籍のピンポン少女も、
ほとんどのスポーツマンは言っている。
たいがいの能有り向上心人間が言っている。

「楽しんでやります」

そのことに関する俺の解釈は
「努力すらも楽しい」

…確かにそうなんだろうけどさ。
もうひとつあるような気がして来る。

余裕。

オーティスライブを聴いたら…。
立ち上る熱。
アツイ。
そして、懐の奥深さ。遊び。
楽しい。

そこには努力以外の成功の何かがある。
「勝つしかないじゃんよ!」では切り崩せないもの。

『ヨーロッパのオーティス』発売1967年。
…たっぷり古い。学べ。


2005年05月10日 (火) 00時46分





voice95■初栃木


    RES 
-------------------------------------------
[161]おなまえ:おーはし
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仕事を3時までで切り上げて、
横浜でゆうきと落ち合う。向かうは栃木県。
意識的には初めて行く県。
イメージ=山ん中のど田舎、茨城の上?
…そんなもんだからさ〜。

ゆうきが乗って来たのはおじいちゃんの車。
ナビ付の車。
…お〜、これがなびげーしょんしすてむかい!

ほんとに便利なのかなぁ〜?と車に滅多に乗らない俺は
半信半疑。「これがあるからちゃんとした地図を持って
来なかったんっすよ」とゆうき。…ふ〜ん。

銀座で芝居を観に来ていたナオと合流。
久々に会うナオは何となく爽やかな感じ。着実的幸福娘。
…いい結婚したのね。

目的地の栃木足利には19時30分着とナビくん。
…ほんとかよ?
案の定、首都高に入るのにナビは混乱している。
首都高に入ったと思ったらナビは下の道を表示する。
…やっぱな。

GWだから混雑していると思ったが、東北道を
東京抜けて埼玉に入ったらスイスイ進む。いい感じ。
夕日に染まった空が見え出す。いいなぁ〜、この空!
夕日自体も久々に見る。東京じゃ、ビル家ビル家で
夕日なんて見えないもんな〜。

「うちはもっとよく見えますよ。何もないから」とナオ。
そりゃ栃木だもんね。わっはっは!

佐野インターで降りたら渋滞が待っていた。
やっぱりゴールデンウィークだね。
でもこれもコールデンウィークだからさ!
GWに出掛ける事自体がうれしい俺は、
それでもじんわり楽しい。
…ゴールデンウィークに小旅行している俺!
あ〜、幸せ。
あ〜、黄金。

2時間半のドライブ後、増田宅着。
増田は表まで迎えに来ていた。相変わらずの増田。
土着的堂々野郎。
『デューク!』を観に来てもらって会って以来だ。
ケトTを着ていた。―うれしいね!

時間をみれば、何と19時30分。
…すげーぞ、ナビくん!疑ってごめん、ナビくん!

さっそく酒じゃ!酒盛りじゃ!
増田は酒のつまみに刺身だの釜焼きなど出す。
うめぇ〜!
でも一番うまかったのは生ぎゅう。
何と霜降り牛肉の刺身!!!
…こんなの食ったことねぇよ〜(涙)

増田は肉の解体の仕事をしている。
そこで分けてもらった肉なのだ。
作業はものすごく大変だけど、面白いって。
…がんばれ!一家の主。
主の奥さん、ナオは事務職をやっているそうだ。
自給1100円。…マジかよ?栃木じゃんか!

派遣登録で見つけた仕事とは言え、栃木で千円だぜ!
東京でもいい方じゃん。
やはり栃木のバイトの相場は七、八百円らしい。
うまくやってるね、奥さん!

結婚のお祝いにゆうきと二人で買った
空気清浄機を贈る。
二人とも大喜び。ちょうど欲しかったそうな。
すでに持っていたらどうしよう?と思ったけど、
イチカバチカが大当たりでほっとする。
二人があまりにもはしゃぐので俺はじ〜んとしちまった。
…物を贈って喜ばれるって幸せだね!

思い出話、現在話、いろいろ飛び交い夜は更ける。
朝まで飲むぞ!いぇ〜い!!!

気が付けば布団に入っている俺。横にはゆうき。
…何???

俺は2時半ぐらいに寝ちまったそうな。
ショック!
しみじみ思う。仕事のせいだ。疲れてるんだ。
…あ〜、増ナオと過ごす時間がもたいない!

翌日は渋滞回避のためお昼過ぎには帰る予定。
増田宅のそばには渡良瀬川が流れている。
大きな川だ。いい景色。
…ふと俺の実家の福岡の矢部川を思い出す。
田舎はいいね。

そう。田舎はいいのに「わっはっは!」
…じゃねぇ!
栃木をバカにするな。
実は真性ど田舎人の俺。

松田ダムという所に行って、
増ナオが作ったおにぎりをぱくぱく。
ダムにはいくつもの鯉のぼりが渡してあった。
お〜、雄大な鯉のぼり!
そして意外にリアル感のある鯉のぼり。
風で膨らむ鯉のぼりに、生の鯉を思い出す。
ぷくぷくのおなか。
ないぞう。
…鯉のぼりって怖い。

でもダムの景色はさいこー。いいな、この水!この緑!
昨日の夕日でも思ったけど、
やっぱ人間は自然を見んとあかんよ。
こういう時間を大切に。
こういう時をもっともっと。
そこにはやっぱり、楽しさがある。

ダムからの帰り道、足利市内を回る。
俺とゆうきはお土産を買う。
途中、町の神社の前で増田が
「森高千里の渡良瀬橋って曲の神社はここなんっすよ」
と説明。俺はその曲は知らないけど、有名な曲らしい。
最近ではあややもカバーしたらしい。
聴けば俺も分かるかもね。
…足利市民はかなりの盛り上がりをみせているらしい。
恐るべし、ご当地ソング。

森高は川の歌を書きたくて、渡良瀬川って
良さそうだから、わざわざここに来て取材して
作ったとナオが説明。…なるほど。
恐るべし、作家魂。
見習え。

そして、増田とナオにバイバイ。
元気に手を振る二人。…ちと悲しい。
がんばれよ、新婚さん!

帰り道の車の中でゆうきに、よくナオはあんな
何もない田舎で我慢出来るよな。何もないのに…。
と問い掛ける。ゆうきは
「東京にいたって同じじゃないっすか?
東京には物はあるけど俺たち、ほとんど利用しないじゃ
ないっすか。だったら栃木にいても同じっすよ」
…確かに。

俺なんか、仕事場と家と稽古場の往復人間だもんね。
お台場だの六本木ヒルズだのディズニーシーだの、
話題になっても近づかない。

渋滞回避策が当たったようで、ほぼスムーズに帰宅。
ほんとは大した事ないんじゃないの?俺たちが帰って
来た東北道ってさ。…と思ったけど、
7時過ぎの自宅のラジオからの道路情報で、
羽生インター渋滞15キロだと。…怖え〜よ、GW!

二人が付き合って、ケトイシを辞めて、
増田の地元の栃木に引っ越すと聞いた時に俺は、
え〜?何でぇ〜?と思ったものだ。
…それって二人にとっていい事?
…それって君たちにとっておもしろい事?

そりゃ、いっしょにやって来た芝居仲間が
居なくなるのは淋しいし、悲しいし悔しい。

でも、ふと離れてちゃんと二人を見ると、
あいつらの生き方って、素敵だと思う。
不思議だけどカッコいい。

それは、あの二人の言葉とか表情とかに
感じる部分もあるけど、やつらの空気だよな。
空気。
着実的幸福娘と土着的堂々野郎。

まだまだここに居る俺だけど、
夕日だけはしっかり見よ〜っと!


2005年05月04日 (水) 21時58分





voice94■アムリタ


    RES 
-------------------------------------------
[160]おなまえ:おーはし
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楽しい事はうれしい。
自分の心と気持ちが楽しいのが最高だ。
でも、無理をして楽しくしているのは哀しい。
楽しくしなきゃと身構えて楽しい様子は寂しい。
そして、きっと、苦しい。

最近の俺は、数年の芝居漬けの日々から抜けて、
何にもない毎日が続いている。
…とは言え、慢性的な金欠病を解消するため、
へいこらへいこら、朝から夜遅くまで勤労のひと。

そんな状態だから、何もない毎日であるわけはなく、
充分物事は起こっているのだが、そこには山のような
疲労はあるものの、過大な緊張や重圧はない。
…公演本番の緊張、稽古の重圧。えとせとら…。

あるのは疲れと寝不足な自分。
たまの休みには『三国志』に読みふける。
遅く帰った仕事の日でも三国志な俺。

明日は7時起きなのにもう3時。
寝不足は止まらない。
全十三巻の三国志な俺は一月半続いた。
そして、また違う本に手を出す。
…俺の寝不足は加速する。

でも心地良いのだ。
しーんと静まり返った真夜中に本と向き合う時間。
まさに至福の時。

人とも会わない。会う時間もなかったが。
仕事先では仲間とべらべらバカ話はしてるけどね。
でもそれ以外の人とは、極力メールとか電話はしない。
だって、する気力も話もなかったから。
…気力というか気分ね。

これでいいんだという、ある種の満足感がある。
何もない事への充足感。そして、楽しさ。

まだまだ自分が本当に楽しいのかは分からない。
でも、「安心」に近いものがある。
決して無理したり、ハイになったりしない自分の安心。

そんな俺が最近手に取ったのが『アムリタ』。
久々の吉本ばなな。
とっても昔に読んで話の内容も忘れた『キッチン』以来。

本屋をうろついていて、
そう言えばあんなにゆーめーで、
あんなにふぁんがいっぱいの、吉本ばなな、
俺、まともに読んだことないよなぁ〜、って感じで購入。

上下二巻の中編小説だが、読み終わるまでに
時間がかかった。思ったよりも全然先へ進まない。
別に読みにくいわけじゃない。
難しい文体でもない。
むしろ日常の平易な言葉使いで進む本だ。

だが時間がかかった。
感情の表現が厳しいのだ。…そう、厳しい。
それを読みほぐし自分の心に入れ込むのに時間がいる。
するするとは読めない。いちいち引っ掛かりが出て来る。

ちょっと意外だった。
吉本ばななって、もっと俗っぽい作家だと思っていた。
ところが全く違っていた。
感情や気持ちの在り方を可能な限りの文章表現で
追求、探求している人だった。
文字表記でどこまで仔細な部分を伝達し、どこまで
自分の感覚を伝え得るかに挑んでいる文学者だった。

まさに純文学な作家!

だから、一見よくある
「家族と恋に揺れる女の子のちょっぴり哀しい物語」
で終わりそうな話も、
「崇高な高みにまで上って行く人生の書」となる。

…とまあ、大仰に書いちゃったけど、
主人公の朔ちゃんも弟の由男も恋人の竜一郎も
しゃきしゃきしたお母さんも、そして、
サイパンのコズミくんもその奥さんのさせ子さんも、
み〜んな愛しい人物たちなのだ。面白い奴ら。

そう、させ子という名の女の人が出て来る。
やくざな父親の腹立ち紛れに命名され、
その名の通り、公衆便所的人生を送った人。
でも、すごい歌声を持つ人。
…聴いてみたいな〜!させ子さんの歌。

突然、霊も出て来るし、円盤だって飛んで来る。
ある面、実にポップな小説。

ラスト近くに朔美がここしばらくのうちに
あった出来事を紙に列記するシーンがある。
…俺もやってみた。

離婚
失業
引越し
ユリア
熱海中止
消化不良打ち上げ
バイトな夏
役者出演
年越し執筆
ストレス公演
劇団爆破と劇団再生

ぼんやりしてたら忘れていたよ。
こんなにいろいろあったんだ!
…これ全てこの一年半に起こった事なんだよな。
はぁ〜。

よくもまぁ生きているもんだ、俺。
俺みたいに精神がガサツな人間じゃなかったら、
とっくに発狂していたかもね。

こんなに短期間でも予想の付かないいろんな事が
起こっている。だから一年後の事なんて分からない。
明日の事だって分からない。明日には新たに
「俺、死す」と記されるかもしれないのだ。
…死んだら書けないけどさ。

朔美も言ってたけど、
こんな事を知りながら、みんなよく生きて行けると思う。
どこかでみんな折り合いをつけているんだよね。
じゃなかったら、全部感じ過ぎて壊れてしまう。

いろんな物事は自分という入れ物を通り過ぎて行く。
自分は入れ物。
…そんな感覚を持たなきゃやってらんない。

そして通り過ぎる物事は、入れ物の奥底にある自分の
核とか魂とかいったものに触れて行く。
そのざらっとした触感に魂は何かを感じて行く。

…そして魂は、きっと求めている。
楽しい事を。
朗らかで大らかな楽しい事を。

決して、自分という入れ物が楽しいんじゃダメなんだ。
やっぱり、自分の核みたいなものが楽しくなきゃ。
無理をしない。
身構えない。
…難しい事だけど、難しい事じゃないかも?

『アムリタ』の終わりは楽しさでいっぱいだ。
みんなみんな、楽しい楽しいと言っている。
無理せず普通に楽しいと言っている。
安らかな心。安心。
読んでいる俺も楽しくなる。

そして物語の全編にあるのは、
空や光や海や木や風のすばらしさ。楽しさ。
…その恵みの大いなる楽しさ!

俺もちゃんと見なきゃなぁ〜、空をね。風をね。

そんな感じ。
そんな気分。
柔らかな自分。
静謐な俺。
古来からの希求。
魂を野に放す。

本当の楽しさはそんな所から始まるような気がする。


2005年04月26日 (火) 16時44分





voice93■政実とケト


    RES 
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[159]おなまえ:おーはし
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今後どんな形であれ生きて行きます…
みたいな事を書いて前回は終わったが、
果たして、俺はどんな形で生きて行くのでしょうか?

高橋克彦の『天を衝く』という小説を読む。
豊臣秀吉軍十万の敵を相手に、たった五千の兵力で
立ち向かった陸奥の武将、九戸政実の物語。

この高克さんの時代小説を読むのは三作目なのだが、
ま〜、いつも面白い!どの作品も血沸き肉躍る!

場面はテンポ良く移り、その心地良さもさながら、
そんな中の情感がべた付かず、返って心に響く。

南部という領地の中にあって、九戸政実を将に据えた
九戸党の一丸となった結束と戦い振りは
「うむむむっ、お見事!」だし、
南部内で敵対する信直や信愛の汚い策略には
「あー!ムカつく〜!!!」と、興奮してしてまう。

クライマックスは信直らを支援する豊臣十万との戦い。
…結果として、政実は空しく討ち取られるのだが、
志は勝っていた。…というより、志のみならず
討っても負けたのは豊臣軍だと言える。

不思議でしょ?
ぜひご一読を。

この九戸政実と言う人、すげーやっちゃ!と
感嘆するのだが、特にすげー!と思ったのは、
先を読む力、大局に立って見通す力。
…先見の明。

戦場でも政治の場でも、常に先を考えて行動に移す。
それもほとんど悩まずに。
あんまり悩まねぇんだよ、この人!

先を考えて、考えるだけじゃなくて、即行動へ。
…見習いたいものですなあ〜。

で、話は元に戻って、俺はどんな形で生きるべきか?
…んなの知らないよ!と言われそうだが、
んなの知りたい!のが俺だしね。

第一、世界は終わってしまうのだよ。
自分の周りにある景色も生活も人々も、
自分が死んじゃったら終わるのだよ。

だって、見られないもん。
触れることが出来ないもん。
感じることが出来ないもん。今ある世界に。死んだら。

…世界は自分の終末とともに終わるのだ。
…て事は世界は極々個人的なものなのだね。

個人的に展開するこのボイス。

俺的世界に、たぶん二度目の区切りがやって来た。
ケトイシ解散かケトイシ続行か?
芝居を止めるのか続けるのか?
…結論は、続行。

ええ、やりますとも!続けますとも!
つうか、新しいケトイシを作りますとも!

二回の会議があった。
一回目の話し合いでは解散の方向となった。
それが先日、急遽逆転。

…ただしハマは劇団を去って行く。
彼は今後、フリーの役者として活動して行く。
「頑張れ!浜野隆之!!!」

逆転した経緯にはいろいろある。
キュウちゃんやダテの助力。
ゆうきの熱い思い。
増田や木水の言葉にも揺り動かされた。

俺の中では
「やっぱ芝居やりてぇ〜!」
「けど芝居きちぃ〜!」
という二つのものがぶつかり合っていた。

世界の終わりまでまだ半分残っている。
俺の寿命が80としたらね。
あとの半分、うまく使いてぇ〜!
芝居じゃない生き方もあるんじゃねぇの〜!
俺の世界にはさ〜!

でも軍配は
「やっぱ芝居やりてぇ〜!」に。

…好きだからね…。

次回公演の予定は
来週のゆうきとの話し合いで決める。
今までみたいな、ひょっとしたら
行き当たりばったり的な予定ではなく、
遠大かつ思慮深い計画設計をする。
準備、台本、稽古、本番と。
それが、リニューアルケトイシ。

んなにうまくは行かないよ!道は険しいぜ!
…んなの分かってるって。
…また挫折もするさ。
…でも先見性は持ちたい。
…大局から見て居続けたい。
九戸政実に心服しちまった(笑)

存続決定の会議の後、
ゆうき、キュウちゃんと明大前の養老に。
ハマも誘ったけど帰っちゃった。
…別れ際のハマ、何だかシュンとしていたな。
目が赤くなっていたな。
気のせいかな?
最近のあいつの目はいつも赤いもんな。
…やっぱ、赤かったよ。
…俺も赤くなっちゃったよ。

木水と増田にケトイシ続行を伝えたら、
二人とも大喜び。

木水のメールには顔文字が。…(#^O^#)
増田は最後に一言。…ぜひ遊びに来て下さい。
足利にも養老乃瀧がありますよ。
はい?

ケトイシをやめて、遠く離れた地にいる二人でも、
木水流と増田流は貫かれているのだ。


2005年03月03日 (木) 20時22分





voice92■デューク!後日談 完


    RES 
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[158]おなまえ:おーはし
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ちと納得行かないよね。
ちびっとむかつくよね。
かなり寂しいよね。
すっげー哀しいよね。

面白かったと笑顔で言ってくれたお客様!
アンケートに楽しかったと書いて頂いたお客様!
ケトイシ最高傑作と言ってくれたお客様!
こういう芝居大好きと語ってくれたお客様!
芝居の感想をわざわざ郵送してくてたお客様!
掲示板に嬉しい意見を寄せてくれたお客様!
メールで応援メッセージを頂いたお客様!
そしてこの後日談を読んでも、尚更に激励のお客様!

そんなお客様には、身もふたもないっすよね。
このボイス。

でも、知ってもらいたかった…とか書こうと
思ったけど、…う〜ん。
うまく言えません。…ごめんなさい。

今後、どんな形であれ、
そのような暖かいひとつひとつの声を励みに
生きて行きます。

ありがとうございました!


2005年02月23日 (水) 04時15分





voice91■デューク!後日談G


    RES 
-------------------------------------------
[157]おなまえ:おーはし
------------------------------------------------
ある今回の公演関係者が言った。
「この台本、宛書でしょ?…だったら役者は
全然幸せだよ。世の中、宛書じゃない公演の方が
多いんだからねぇ。」

演劇のお客さんって何を主に観るんだろう?
…お話かな?
…役者かな?
…演出かな?
…舞台を見回すのかな?
…その全部かな?

ま、全部を観るというのが一番の意見だろうけど、
俺はあえてもっと絞るなら、
役者を観ているような気がする。…見ている。

たんたんと演じてくれる芝居もいい。
しっとりと演じてくれた役者の姿が
実に気持ちのいい時がある。
…だが俺は、どうしてもハイテンションで
繰り出される熱い演技に目を奪われてしまう。
演劇を覚えたての頃から
そういう芝居が好きだった。

昨年コスモルに役者参加した事には
いろんな理由があったが、ひとつには
そういうハイな役者さんがあの劇団にいたからだ。
「あの人たちと一緒に舞台に立ちたいな〜!」

やった後はそういった意味では大満足だった。
いっぱい刺激をもらった。
今でもあの興奮はしっかりと胸に刻まれている。

この『デューク!』の前の作品の
『ブラック・ストライプス、うにへ行く!』を
観た知り合いの意見の中に、何だか客席と舞台の間に
一枚の壁があるように感じたというのがあった。

あちゃ〜!またやっちまったかい!
…俺はこの問題でいつも頭を悩ましていたのだ。

『爆発村けろ子』という作品で外部から参加の役者に
「大橋さんはストロングタイプの演出だからねぇ」と
言われた事がある。…ストロングタイプ?
…何だかカッコいいんじゃない?…豪腕演出家?

裏を返せばワンマン、やり放題、一人突っ走り。
役者の意見は絶対聞かず、自分を通しまくる演出家。
しつこく繰り返し、詰め詰めで決め打ちする奴。
いい時はいいけど、間違った方向へ行くと戻って来ない。

…何だかそっちみたいな空気で言うその役者…。
…一枚の壁と言ったのも実はその役者であり…。

その『爆けろ』以来、いかに役者に自分の演技を、
その役者特有の芝居を発揮させようかという方向に、
俺の考えは傾いて行ったように思う。

役者が舞台上で思う存分泳げるように。
自分の創意工夫を表現出来るように。
…そしたらその作品世界は、
もっともっと多くの観客に
伝わって行くんじゃないかな?と思った。

そう簡単に今までの俺のスタイルを
変えるのは難しいが、
何とかちょっとずつでもいいから変わりたかった。

届け!お客さんに我が思いが!

ところが『ブラうに』でも届いてないって
言われちゃったのでした。…ありゃりゃん。

で、その公演が終わって間も無くコスモルの公演。
ハイな役者さんは観客に突っ込む、突っ込む!
…ええ〜なあ〜!この人たちったら!

実はこの劇団も宛書で台本を作っていた。
この公演自体が「届け!思いが!」の意味で
OKな公演だったかは分からない。
…やり手側に回るとねぇ〜。それに久々の役者で
テンパっておりましたから、わたくし。

宛書って、そういう事だったんだ!と気づく俺。
役者本人の性格や特徴をつかまえて
キャラ作りして、その作家の
作品世界に活かす事だったんだ。

頭ではそういう理屈は充分に分かっていたが、
今までケトイシで一度も宛書をした事の
なかった俺は非常に勉強になった。
それも宛書された役者という、
当事者としての実体験も入るから尚更だった。

…当事者感覚はとても大きなの重要性を持つ。
それは演劇に関わらず生きる事の多くの部分で。

よし、今回はそれで行こう!
幸い俺も入れて、15人の個性的な奴らが集まった。
この個性を台本に活かして行けば
面白い作品が出来るような気がする。

もちろん芝居だから、演出意図は
伝えなきゃいけない。動き、言い方、感情など
基本的かつ外せない部分は演出としての枷を入れ込む。
それが無きゃ意味がない。

でも好きにさせた。ある程度は役者の好きにさせた。
…というより、昔から俺を知るスタッフや役者は
びっくりしていた。
「丸くなり過ぎ!」とも言われた。

自由な役者!明るい雰囲気!楽しいケトイシ!
これで未来は開けた!ばんざい、ばんざい!

…今頃は帝国劇場から公演のオファーが
来ている予定だったのになぜだろう?

前にも書いたが、自由には責任が付きまとう。
自由を獲得した途端に自分の行動、私意、
言動には引責が伴って来る。
自分の落とし前をつける事。

ま、落とし前なんてそんな堅くて重い事じゃないけどね。
死に水を取るって事よ。
…堅て〜じゃん!つか、重いじゃん。重過ぎじゃん!

15人がいる。…15人もいるかな?
いろんな役者がいた。
自由に泳ぐ役者。自由に戸惑う役者。
自由を履き違えた役者。自由になり過ぎた役者。
自由が分からなかった役者。自由に怯えた役者。

いろいろな対応があったけど、いろいろあるからこそ、
ばらばらになるのも簡単だった。
俺は台本とベースになる演出だけで、あとはみんなが
好きにやれば何とか行けるだろうと思っていた。
…きっと、舞台と客席の一枚の壁を破れると。

そりゃ、『ブラうに』よりはずっといい線出せた。
それは間違いない。
でも全員で壁を突破して、
全員が気持ちのいい瞬間を共有出来て、
お客様も大満足と成りえたか?
…答えは、ノン。

「この台本、宛書でしょ?…だったら役者は全然
幸せだよ。世の中、宛書じゃない公演の方が
多いんだからねぇ。…もっとその辺を役者が自覚して
やれば良かったんだよ。そしたら、みんな出せたって!」

…とは言え、宛書だから、自由にしていいからって、
すぐに役者が出来ないのも当然だと思う。
自分の好きに言ったり、動作する事は
簡単そうで難しい。

んな事は分かってるんだ。当の昔から。

…でも、それをすぐさま、今すぐ、何はともあれ、
積極的に、自覚的に、全身全霊を込めて直ちに、
【今この時】にやらないといけない!
いけない!
いけない!
いけない!
…なぜかという事は、
今までのこの後日談で語って来た。

俺の失敗はいろいろあるけど、
ひとつには「信じ切れなかった」事。
…これも語った事だけど。

役者のみんなを信用出来なかった。
…好きにしていいという考えを持ちながら、
全員を信じていなかった。信じている振りをしながら、
その実、物凄く気をもんでいた。

だから、みんながばらばらだと感じた時に
有効な手立てを打てなかった。

みんなを信頼していたら、
ばらばらの元凶を粉砕出来ただろう。
これはこうで、それはそうだからと
的確な指示を与えられたろう。
時間が無い稽古スケジュールも、もっと効率良く、
もっと成果が上がるものに出来ただろう。

今から振り返れば、あんなに俺に付いて行こうと
していたケトメンのハマやゆうきや、
外部参加のキュウちゃんや、
そしてケトイシ大ファンで参加したダテを、
もっともっと信じて、信じ切って、任せれば良かった。

…そしたら、みんなで作る芝居になれたのに。
一人じゃやれない大きな事がやれたかもしれないのに。

悪しきストロンガーですな、今回の俺も。


役者よ、こんな奴は放っておけ!
つか、怒れ!(また言ってるよ)

時間は有りそうで、その実、無い。


2005年02月18日 (金) 23時33分





voice90■デューク!後日談F


    RES 
-------------------------------------------
[156]おなまえ:おーはし
------------------------------------------------
ここ数回、役者の事ばかり書いている。
…それもかなり辛口・辛辣に。

もちろんこのページはネット掲載されているものだから、
多くの人々が見ている。

『デューク!』をご覧になったお客さん、
観られなかった人、通りすがりの演劇に興味のある方。
…そして、『デューク!』に参加した役者も。

役者のみんなは頭来てんだろうな?
ご来場のお客様で楽しめた方は興醒めかな?
通りすがりのネットサーファーは
「何をここの演出は荒れているんだろ」と
思ってるんだろうな?

全部承知で書いている。
ひょっとして悪口雑言の部類に入るかとも思う。
…例えそれが正論でもね。

悔しさがある。
なぜこんなに面白い本が書けたのに、
俺の理想の舞台が作れなかったんだろう。

そしてあきらめがある。
どんなに頑張ったって、これくらいの
芝居しか作れないんじゃ意味無いよな。

この『デューク!』の大きな特色は、
現代劇の体裁を取りながら、時代劇家族・洋風ファミリー、
そして現代人たちを同時に出して物語を進めた事にある。
あと、音楽に乗せた踊り・歌・お笑いを挿入した事。

これらのものを材料にひとつの芝居を作り上げる…。
それも理路整然と誰もが納得行くように。
…よく書けたと思う。よく構成出来たと思う。

もちろん、観た方の中には作品批判もあるだろう。

ルーシーのストリップダンスの後に暗転が来て、
アナウンスが入り、明かりが入るとオカマが脱ぎ出す。
…あのアナウンスは不要だと言う意見をもらった。
一瞬暗転、ルーシーと同衣装のオカマがいる。
その方が面白い。アナウンスは観ている側に予感させる。
次に出るオカマを。「読めちゃうんだよね」って。

『気持ちE』はケトイシの伝統芸だ。
あの裸の男たちのくだらない踊りは、今回で4回目になる。
その度に受けを取って来た。今回も当然のように受けた。
…この出し物を今までの公演で数回観た人に言われた。
「やるのはいいけど、やる度にパワーアップしないと。
…楽しちゃいけないよ」

自分でも引っ掛かっている事もある。
「なぜ、象のくだりは反応が無かったんだろう?」
「なぜ、金之介の全身看板は受けなかったんだろう?」
「なぜ、四国人の面白さが伝わらなかったんだろう?」
「なぜ、新八の敵討ちのくだりに感動がイマイチ?」
「なぜ、スカラビンとデュークの悲しみが浸透しない?」

これらの批判と問題は、
実は、役者次第でクリア出来たんじゃないか?
…と思っている。

役者の台本の読み込みの甘さと、
観客の心を揺さぶってやろうという探究心、冒険心の無さ。

演出としての俺にも責任はある。
…もっと、台本の意味や音楽系の出し物への説明を
するべきじゃなかったか。例え嫌がられても。
しつこくしつこくしつこく…。

でもねぇ…。
疲れて来たんだ。
疲れて来た。…疲れた。

ただの自画自賛と思われてもかまわないけど、
こんなに面白くて分かりやすい台本・構成の前に、
何の説明がいるんだろう?
何の饒舌さが必要とされるだろう?

ダンスを面白く、そして自分が楽しく!
本を読んで感動したら、その感動をありのままに!
…俺がやってる事と、言ってる事はそれだけなんだ。

それだけなのに、それに対する探究心と冒険心が…。
何度も言う!
【探究心と冒険心が、なぜ無いの?】
…ねぇ、役者のみんな。

ケトイシは観客動員五百であっぷあっぷの劇団だ。
そんな劇団を率いている俺は、
売れない作家であり演出家だ。銭を取れない人間だ。

このような俺に言われた侮辱すれすれの意見に、
君たちはもっと怒れ!
君たちはもっともっと奮い立て!

…そうしないとねぇ…。

悲しみがやって来るよ。演劇が悲しくなって来るよ。

楽しくて楽しくて仕方が無かった芝居が、
とってもとっても苦しくなるよ。辛くなるよ。

そして俺みたいに疲れて来るよ。
演劇に疲れて来るよ。

昨夜は以前からの芝居仲間と下北で飲んだ。
お互いの芝居について語った。
…奴が言っていた。

「もう自意識過剰な発想や三面記事的いざこざで
芝居をやるのはこりごりだ。
自分はただ単に芝居をやりたいだけだったんだ。
芝居だけをとにかく精一杯にやりたいだけだったんだ。
…なぜこうなったの?…どうして小劇団ってそうなの?
当分芝居なんてやらない!」

そうだよな。
そうだよね。


2005年02月16日 (水) 19時25分





voice89■デューク!後日談E


    RES 
-------------------------------------------
[155]おなまえ:おーはし
------------------------------------------------
お、同日書き込み。久しぶり。
…今、飲んでま〜す。いえ〜い!

そりゃグリーン・デイはがんがんさ。
ケミカルは癒しね。
エミネムは聴けば聴くほど、
怒りがふつふつ湧き通し。怒りの歌声!

DでもEでも無茶苦茶に役者に対して
言ったけど、やっぱそう。
ほろーなし。わりぃ。

芝居やってて思うのは
何でみんなカッコ悪いのかな?って事。

衣服、つまりファッションも
音楽の奴らには叶わないところがあるけど、
それだけじゃなくてさ。…ひょっとして生き方も?

バンドやってて芝居人みたく大変な思いしてる奴も
馬鹿みたいにいるけど、お金とかの苦労があるから
カッコ悪くなるって事はありえないよね。

俺はバンドマンの内情は分からない。
でも、20代そこらの人間がアメリカやイギリスの
チャートで1、2を取っているのは知っている。
20代で世界制覇だぜ!おいおい!

総じて言えると事は、カッコいい。
ちくしょ〜!カッコよすぎ!

言っとくけど、ブッシュはアホだと断言するし、
ブレアはただの「ブ」つながりとしか思っていない。

やつらは米国人だからさ!英国人だからさ!とかの
国の話じゃないのね。
人の問題じゃない?やっぱ民間よ!

民間、カッコ悪いよね。…今の日本の演劇界。
民間、カッコいい?…今のJポップ???
邦楽の事はオレンジなんたらも
分からん状態だから勘弁してちょ。

ユニクロ人間の俺に言われたかないかもしれないが、
せめて、カッコだけは付けろと言いたい。

自分特有の【演劇人的衣服と心のファッション】を
身に付けろ。…身に付けてね。

そうしないと、演劇は取り残されるよ。
…オヤジの遺言。


2005年02月16日 (水) 02時24分





voice88■デューク!後日談D


    RES 
-------------------------------------------
[154]おなまえ:おーはし
------------------------------------------------
『歌って踊れる』

極一般的ステージ俳優像。
庶民の方々が役者に対して思っている姿。

…そのような事柄をどれだけ本気で思っていたか?
今回の『デューク!』の役者がね。

踊れなくも踊れるように
見せかける手段は取っていた。
でも役者は困っていた。
いや、こもっていた。…こもっていた。

「自分は出来ない」が終始続いていた。
出来ない意識で全てを押し通そうとする
…役者みたいな人々が。

困るのはいいんだよ。
出来なくてもいいじゃん。

元々「せりふ言うだけ」しか
頭にない子に、
いきなり「踊れ!」って言っても無理だよ。

でも困った顔を見せる役者に言いたいのは、
役者っつもんは、何でも出来んとあかんよ!って事。
終始踊りは付きまとうよ、この世界は。

出来なくてもいいから、やったる意識を見せんか!
―あたしゃ「実は本当は」出来るとよ!みたいな。
すぐには出来んけど、努力で何とかする!みたいな。
…実は本当は!

それと同じように思うのが
『こいつら何でモノマネせんかな〜?』
と言う事。

人の芝居をかっぱらわんかい!
盗まんかい!!!

“自分に何がある?”

=何もねぇ〜。
そこから始めようよ。

んなら、モノマネして自分を見つけろ。
モノをマネしろ。
そこに絶対、突破口がある。


2005年02月16日 (水) 00時43分








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