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■Voice From おーはし■

ちわっ!みなさん。
このコラムコーナーは、俺が日頃思っていること
…例えば、舞台や映画を観ての感想や音楽を聴いて感じたこと、
小説を読んで思ったこと、道を歩いていて気づいたこと、
ごはんを食べての満腹感、まる半日寝た後の爽快感などなど、
そんな日々のあれこれを、どくだんとへんけんにミチミチて
語ってしまおうというものです。…もちろん、ケトイシのことも!

不定期更新。気が向いたトキが更新日。

━ 2002.11.19 OPEN ━

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voice107■いま、会いにゆきます


    RES 
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[173]おなまえ:おーはし
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なんか恥ずかしい。
ちょっと照れ臭い。
かなりくすぐったい。
…それは『いま、会いにゆきます』。

なんでぼくはこんなの、みようとしたんでしょ?

基本的にこういうタイプのお話…つまり、
純愛ドラマつうのが苦手な俺は、
この類のものにことごとく目を背けて来た。

あんなに世間が騒いでいた
せかちゅうもふゆそなも、
一応目を通すべきかな?と思いつつも、
たぶん間違いなくガッカリしそうなのでやめた。
…そう、俺はガッカリするのがいやなのだ。

だからせかちゅうもふゆそなも、
この世界には存在しない事にしていた。俺的に。

こういうのは入り口が大切なのだ。
「ぼ、ぼくはこのドラマを見て感動したいのだー!」
とか、
「私は泣きたいの!泣くために見ているの!」
とか、
「素敵な恋がしたい!それもドラマチックなやつ!」
とか、
そんな見る側の気持ちの入り口があれば
すんなり見ることが出来る。
作品の出来がイマイチでもそれなりに楽しめる。

ところが俺のように、
「感動ってしたくてするもんなの〜?」
「なんでわざわざ泣かなきゃいけないの〜?」
「恋がドラマチックなのは最初だけじゃんよ〜!」
などと思っている人間にとって、
純愛ドラマはかなりの狭き門なのだ。
入り口ちょーせま!
…てか、入り口がないもんね。だから見ない。

でも見ちゃった。

今TVドラマでやってるとか、
主演の二人の結婚とか、
ハリウッドでリメイクされるとか、
そういう話題に押されたこともあるし、
見た知り合いもおもしろいと言ってたし。

つまらなくても、取りあえず見ておいて損はなし。
…そう結論付けた俺はレンタル屋さんに
380円払って、再生ボタンをポン!

緑の森がとっても綺麗。
佑司くんはうまくてかわいい男の子。
妻の澪は清楚な中の艶っぽさがいい感じ。
で、夫のたっくんだけど…

なんでかなぁ〜

さわやかじゃないんだよね、ししわらべ。
顔が変なんだよ、ししわらべ。

特に大学時代の回想シーンで、
澪がたっくんのコートのポケットに手を
入れる所なんか、おいおいやめてくれよ〜。
あんな変な顔した変な動作の変な目つきの男に、
恋なんかするかよ〜。手、入れっかよ〜。
まじ、やべぇ〜よ。
まじ、さわやかくねぇ〜よ。
この、ししわらべー!
…と、思った次第で。

この人の芝居ってほとんど見た事がないから、
いつもはどんな演技をしているか分からないけど、
『ピンポン』は良かったな。
ナカムラ・ストロング・シドー!!!って感じで、
久々に豪快な男優を見た気がした。
男の色気がムンムンしていた。

ま、元が舞台の役者さんだから、どうしても
顔で芝居する方向に走りがちかも知れないけど、
この役柄なら、もう少し表情を抑えた方が
いいんじゃないかなぁと思った。…ま、それでも、
朴訥さは充分出ているからいいんだけど…。

他にも、死んだはずの澪が現れた事に関する
周りのリアクションが妙だな〜と思いながらも、
その再来にも別れの時が来ると、
ちょっぴり感じる俺がいたりして…。
そして、映画は終盤へ。

前半部分でたっくんが語った澪との思い出の
エピソードを、ラストでは澪の日記によって、
澪側の視点からリフレインするのだが、それがいい。

それがいいっつうか、泣いた。
あー、泣いたさ俺は!

この作品はたぶん、家族愛が大きな柱だと思うが、
それよりも俺は、高校から大学へという思春期の
甘酸っぱい恋のお話がちょーお好み。

はいはいはいはい!
あるあるあるある!
わかるわかるわかるわかる!

男の子の視点、女の子の視点のふたつが
きれいに描かれていて、それがとっても気持ちいい。

やっぱ、恋はドラマチックじゃないとね!
…あれ?(笑)

さらに良かったのはどんでん返しね。
この話、幽霊ものだと思ってずっと見てたけど、
実はタイムスリップものだったのだ。
途中不可解な部分があって引っ掛かってたけど、
なるほどそうだったのかと納得。―お見事!

死を覚悟の上の愛とかさ、
同じ人に何度も恋をするとかさ、
君の隣は居心地いいとかさ、
ちょっとちょっと、
それって甘すぎじゃないの〜?
体中がくすぐったくて仕方ないじゃんよ〜
俺、リアリティあんまし感じないよ〜
って普通思う事が、結構はまってしまうのが
この作品のいい所かもしれない。

が!
作品的にははまっても、こと実生活という
現実レベルまで持って行って考えると、
なかなかリアリティを獲得するまでは行かない。

やり直しが出来るなら違う相手と恋をしたいと
思う人は星の数ほどいるだろうし、
隣にいて居心地がいいのはあの時だけだったと、
悔やんでいる男女も山のようにいるのだ。

まぁ〜ねぇ〜…
夢を見させてくれるのが映画だと思えば、
そんなに無理に現実を引き合いに
出さなくてもいいんだけど。

でも映画は、夢を見せるだけが映画じゃない。
現実のリアルを追求する映画もたくさんあるし。

映画だけじゃない。
小説にも音楽にも演劇にも。
その他、多くの表現は現実を直視し透視する。

ミッシー・エリオットという女性アーティストがいる。
…GAPのCMでマドンナと競演していた黒人女性。
『ザ・クックブック』という新譜が出た。
そのM12に「ティアリー・アイド」という曲がある。

【私は恋に傷つき恋に疲れ果てた。なぜなら、
あなたは私の一番醜い部分を引き出したから】
…というような歌詞の一節がある。

りあるだね。
つうせつだね。
きびしいね。
しびれるね。

人の一番醜い部分を引き出したり、
引き出されたりしたら、もうおしまいだ。

愛する人にはそんな事をされたくないし、
したくもない。
でも愛しているからこそ、その部分の周辺にまで
近づいてしまったりするわけで…。

けれども、近づいてしまった時にどうするか?
醜い部分が見えそうな時どうするか?
醜い部分を見てしまった時どうするか?
醜い部分を出してしまった時どうするか?

ここに本当のドラマチックな恋が待っている。
ここからがリアルらぶのおいしい所じゃない?
…ヘビーでタフな事だけど。

とにかくこの歌詞、
曲とともに聴いているとかなり切実に響いて来て、
すげぇーなミッシー!と思ったりする。
アルバム全体もかなりひねったヒップホップだけど、
そのくせものすごくポップな高揚があって、
ずんずん楽しくなってしまう。
―いい!かっこいい、ミッシー!

…あら?
なんか今回の俺、恋愛語ってない?
ばかじゃん。
ばずがじい〜〜〜〜!


2005年07月22日 (金) 00時51分





voice106■アイムロンリー再考


    RES 
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[172]おなまえ:おーはし
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俺は言葉を信じない。
言葉の力がそれほど大きなものだと思わない。

もちろん、暴力に勝る言葉はある。
どんな暴力よりも人に深手を与える言葉がある。
肉体に加えられる暴力よりも、ずっとずっと、
たやすく簡単に人を傷つけてしまう言葉がある。

そんな言葉の力は絶大だ。
言葉は人を■に追いやることが出来る。間違いなく。
言葉の暴力。
受けたこともあるし、使ったこともある。たぶん。

最悪だ!
最悪だ!
言葉の暴力は最悪だ!

ここで言う言葉の力とは、これとはちょっと違う。
暴力としての言葉が人を不幸に陥れるものなら、
それとは逆に、人を幸せに導くような言葉。

名言、格言…。
教訓的言葉。生きる指針となる言葉。
救われる一言。心を広げてくれる言葉。

そんな言葉を俺は信じて来なかった。
心の拠り所としての言葉を実感したことがない。

ところが最近続けざまに、
俺の琴線にピチッと触れる言葉が現れた。
ピチッ!
ピチッ!

【引かない、押さない】
…カレンダーに赤ペンで書いてるやつね。
出典は俺。ひらめきの言葉。やっほー!

そして、
【淋しい。でも、まだそこまで淋しくはない】

この言葉が出て来るは俺の一押しアルバム、
ホワイト・ストライプス
『ゲット・ビハインド・ミー・サタン』。
アルバムラストナンバー「アイム・ロンリー」。
以下は略詞。

母を思う。…会いたい。
妹を思う。…愛してる。
彼女を思う。…悲しくなる。
友達を思う。…必要なんだ。
そして僕は淋しくなる。
でも、まだそこまで淋しくはない。

後悔を胸いっぱいに川を見下ろし、
意味など残されていないと川に体を浸す。
肺に水が入る直前に川から出る。
…そして僕は淋しくなる。
でも、まだそこまで淋しくはない…。

このアルバムについてはちょっと前に書いたのだが、
この詞はいつも、なんとな〜く、心の中に
うにょうにょと漂っていた。

うにょうにょ、なぁ〜に?
うにょうにょ、ひょっとして…
うにょうにょ、なぁ〜に?
うにょうにょ、これって…
うにょうにょ、いいんじゃない?

いいんじゃない?いいんじゃない?いいんじゃない?

淋しいのはいやだ。
淋しいのはきらいだ。
出来れば淋しくなんかなりたくない。
淋しさとは無縁でいたい。

「はい、ここからは淋しくなりますよ〜」
ていうエリアがあるんだったら、
なるべくそこを通らないようにしたい。
入らないようにしたい。
その地域だけは封鎖してもらいたい。
全世界的規模で核ミサイルの攻撃をしてもらいたい。

心の全領域からの排除を望む。

でも、淋しさ魔人はもろ手を上げてやって来る。
「おいで、おいで、こっちおいで〜」
いまいましい淋しさ魔人はとっても強力だから、
俺はすぐに引きずり込まれるのだ。

「ひぇ〜、淋しくなちゃったよ〜!」
「ざまみろ、おーはし。がっはっはっは!」

淋しさ魔人は殺せない。強いもん。
結果、心の全領域からの排除は不可能である。
…淋しさは残る。

【淋しい。でも、まだそこまで淋しくはない】
…この言葉の中には、ある種の光がある。

淋しいのは事実だ。
泣きたいくらいに、■にたいくらいに淋しい。
誰でもそんな経験があるはずだ。

その状況を語るなら、【淋しい】
その一言。
事実的に実証的に、淋しい。

でもちょっと待て。
本当に自分は淋しいのか?
泣きはするけど、■ぬまで淋しいのか?
その淋しさで、本当に俺は■るのか?

今のその淋しいという状況をお前は、
ただの【淋しい】という一言で済ませられる?
断言出来る?
言い切りでいいの?

「いやさ〜、そう考えるとさ〜、
実は俺、そこまでじゃなかったかもしんない。
そこまで淋しくなかったのかもしんない(笑)」

↑(笑)だって。
…笑ってるし、こいつ。
「いや、苦笑いだよ」とか言うんじゃねぇの?
でも笑ってることは事実じゃんよ!

【淋しい。でも、まだそこまで淋しくはない】
という言葉の中の光。
それは絶望と悲観にあえぐ心境における、
希望の光だ。ゆとりの光だ。
人間が本来的に持っている心の幅、
心の奥深い部分を照らし出す光だ。

余裕が出て来ていい。
遊びが生まれていい。
まだまだやって行けそうな気がして来る。
だからいい。

苦しい。でも、まだそこまで苦しくはない。
―はい、苦しみ魔人、撤退!

泣きたい。でも、まだそこまで泣きたくはない。
―はい、泣き泣き魔人、撤収!

怒った。でも、まだそこまで怒ってはない。
―はい、カンカン魔人、逃走!

殺したい。でも、まだそこまで殺したくはない。
―はい、殺人魔人、撃退!

■にたい。でも、まだそこまで■にたくはない。
―はい、…あなたは、生きなさい。

何かこれから困難な状況に遭遇した時、
俺はこの言葉を思い出すのさ。
したら、どんよりいや〜な雲間から、
少しはニコニコ晴れ間が顔を出すに決まってる。

魔人にバイバイ。
ざまぁ〜みろっつうの!

しかしあれですな…。
盛り上がりませんな。
いや、ホワイト・ストライプスですよ。

そりゃ、グリーンデイの『アメイディ』まで
売れるとは思ってませんよ。
ホワストがオアシスみたいなビッグバンドに
なるとは思いませんよ。

でもねぇ〜
いいアルバムだからさ〜
日本全国盛り上がろうよ。
ひとり一枚とは言わないからさ〜
せめて、一家に一枚の割合でさ〜
一族一枚でもいいからさ〜
おじいちゃん、おばあちゃんも喜ぶよ〜
…喜ばねぇか。

たく…
ぶつぶつ。
まぐろぶつ。


2005年07月14日 (木) 16時19分





voice105■今回は日記です。


    RES 
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[171]おなまえ:おーはし
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土曜日
切れた。仕事先のばばぁに。あのばばぁは癌だ。
…でも転移しない癌だから救われる。
ひとりぼっちの癌細胞。

日曜日
この日も一日仕事。店長に感服。癌ばばぁと、
その他の何人かの戦力レベルローの連中を使って、
よくあの売上を出した。えらい!見直す。

月曜日
昼間に個人的アカデミックな用件を済まして、
夜、仕事先の気の合う連中と落ち合って飲む。
その中の杉山さんとは長い付き合い。
…もう十年以上になる。
でも最近、ラブイズブラインドな男になってしまった。
ラブはいいけど、ブラインドはまずいっしょ。
…結果、みんなに責められる(笑)。
ほとんどは終電までに帰った中、
くどーちゃんとヒグチとカラオケへ。
俺はグラス二個をこなごなに破壊しながら、
歌うのもそこそこに、踊り狂う。
二人が見る画面の前で。その歌に合わせて。
久々バカしちまった。…画面が見えねぇ〜つうの。
が!俺はおもしろかった。
ダンシングは俺のもの!
…その思い込みが世界を動かす。
そのあとは、ヒグチとまんきつへ。
でも漫画なんて読むわけない。
だからと言って、寝ようにも目は冴える。
出勤時刻は目の前に迫っていた。

火曜日
寝てねぇー!げろ吐きそうー!
この日はあさいちしごと。
でも、あっという間にその時間。…当たり前。
まんきつに行ったのがさっきだもん。
寝てねぇー!
おまけに、
げろげろー!
夜の11時まで仕事なのに〜〜〜!
仕事仲間たちが気を使って、栄養剤だの、
ウコンだの、ビタCだの、ハーブティーなどくれる。
うれぴ〜。
うれち〜。
二日酔いへろへろ寝不足の
【てめぇが悪いんだろ!人間】に、
ここまでしてくれる優しさに頭が下がる。
返すぜ、この礼はよ!

水曜日
この日も一日仕事。
でも前夜はノンドリ、フルスリープで快調。
実は今まで、かなりかなり仕事先の連中とは
飲んだり、オフ会話を持たなかった俺。
…だから奴らを身近に感じられてうれしい。
特に朝までいっしょのくどーちゃんとヒグチ。
くどーちゃんはやさしく大らかなママ!
ヒグチは楽しくキャッチーな自然体人間!
俺は単純に感動。
…単純に感動する俺って単純?
でもそれのどこが悪い?
単純的感動無き人生に単純的価値は無し。

木曜日
朝から夕方まで、伊坂幸太郎の『重力ピエロ』と
向き合う。俺の伊坂体験三冊目。
『ラッシュライフ』―凄い!
『オーデュボンの祈り』―なんじゃこら!
そしてこの本。
絶句。
絶句。
絶句。
本当はこの回のボイスは伊坂幸太郎について
書きたいと考えていたのだが、書けませんです。
はい。
もうちょっと、頭の中で整理する必要が
在り過ぎる作家さんです。伊坂さんは。
…ふにゃ〜。
夜は個人的アカデミック用件。
(かなり個人的内緒事項なのでここには書かない)
で、さっきまで酒飲みながら、レンタDVDで
『アットホーム・ダッド』を見ていた。
脚本の尾崎さん、困らしているやんけー!
主人公をよ!
主人公をいかに困らすかが脚本の良し悪し。
王道を歩めるものこそが
王になる資格を持つ…か。

『重力ピエロ』についてひとつだけ。
「俺たちは最強の兄弟だろ?」という言葉が
歯も浮かず、何の邪心も呼び起こさず、
ビッシッと決まって涙が出る小説です。

―伊坂、てめ、最強かもな!!!


2005年07月08日 (金) 03時07分





voice104■引かない、押さない


    RES 
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[170]おなまえ:おーはし
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清水が家にやって来た。
(清水ってうちの宣伝美術の人ね)

公演の情宣段階に会うのがもっぱらで、
そうそう頻繁には会わないんだけど、
こいつ、変わったかな?と思った。

中庸の佇まい。
平和。
平静。
川の流れ。
シシオドシの音。

清水はファッションに目覚めていた。
ほとんど服に気遣いがなかったあいつが。
…でも忙しくないファね。

♪あれも欲しい!これも欲しい!
もっともっと欲しい〜!
…じゃないファ。

組み合わせが楽しいって言っていた。
正にデザイナー的意見。
(ペーパーのデだけど)

あのジーンズとこのシャツを組み合わせ、
このパンツにあの靴で…、みたいな。

半月ぐらい前はイタリア旅行をしたらしいし、
趣味はバイクツーリングだぜ。

その楽しそうな感じは、内容と裏腹にアンチ嬉々。
つまり淡々。
川の流れに身を任せた奴。
やっぱ変わったよ、あんた。

でも、それなりにいろいろある清水。
…話を聞けばね。私生活的な。

それでも、彼は川の流れ。
なぜ?

俺のカレンダーには先月から、
ある一文が書いてある。俺が手書きした。
赤ペンで書いた。

「引かない、押さない」

この7月も、引かない押さない、だ。
赤ペンで。
天の啓示とはこの文言だろう、俺にとって。
赤い文字が光るぜ。
赤ペンだしな。

数日前に『エンジン』の最終回を見た後、
俺の頭に振って沸いた言葉なのだ。

が!断言してもいいけど、
エンジンの中身とは一切関係ない。

中身としては、マッチは何のために出て来たの?
って感じ。
食われている。キムに、タクに。

ああいうシーンに、ああいう芝居で出ちゃなぁ〜。
近藤さんも役者で付き合ってんだったら、
せめて木村に迫るぐらいの勢いで出て欲しいな。
…そうじゃないと、悲しいよ。
おーねんのマッチのファンは。

ま、いいや。ジャのことは。

よくないのは、脚本の井上由美子さん。
節々にいい台詞と展開があるんだよ。
うまいな、ほんと。

肩の力を抜く事が出来ない俺を、
俺はずっと忌み嫌っていたように思う。

物事を押して力が入れば、
反動で引いても力が入る。
しまいにゃ、すねたりして…。
芝居作りをやっていない今でも、
その事が頭によぎる。

ふとした瞬間に。それこそ日常的に。
エンジンとは無関係に。
けど、心のエンジンは動いている。

…引き過ぎる俺。
…押し過ぎる俺。
…普通になれない俺。

普通を目指すことは難しい。

40過ぎてもこんな事を思う。
人は一生、こんな事を思いながら生きて行くのか?
自分の性癖に関する悩みは死ぬまで尽きない。
…俺だけ?
60ぐらいになれば違った心境になるのかね?

引かない、押さない。この中には普通がない。
普通になれとは迫らない言葉。
「引かない、押さない」

これって、ちょっと気が楽じゃん。

中庸の清水を見ていて、
尚更、そう思った俺。

実践出来るかは分からない。
でも、書いていつも見るんだ。
それだけでもいいと思わない?
赤ペンだしさ。

清水のシシオドシ状態の理由は分からんよ。
何となくだけど、聞く必要はないと思った。
聞いたら無粋のような気がした。
イキじゃない。

…でもね、思うんだ。
そういう人のそばにいて、そういう人の
佇まいを感じるっていいな〜って。
例え清水でも。(うっそー)

川のような人といっぱい出会って、
身を任せられる人になりたいもんじゃの〜。

理屈抜きのうれしさ。豊かさ。
日向ぼっこ。
ほんわり、ほんのり、いいきもち。


2005年07月01日 (金) 05時23分





voice103■鹿殺し


    RES 
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[169]おなまえ:おーはし
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鹿殺し。…どこかの動物愛護団体に
批難囂々されそうな言葉だが、これ、劇団名。

2000年結成の新しい劇団。
関西で活動後、最近東京に拠点を移したらしい。
俺は昨年から、その名は耳にして記憶にあった。
…何しろシカゴロシだもんね。

前回のアゴラでの公演も行ってみようかな〜と
思ったが都合が付かず断念。ま、観なくてもいっか。
…シカゴロシださ。

ところが最近、知り合いの芝居を観に行ったら
この公演チラシが当日パンフに折り込んである。
…あ、あのシカゴロシ。

シカゴロシしかごろしSHIKAGOROSHI鹿殺し…。

どう考えても気になる。気になり過ぎる。
行こう。絶対観なきゃいけない!

そんな決意をしていたら、まんざらこの劇団、
無名ではないらしい。ある筋のある事情通の間では、
赤丸急上昇の注目株らしい。…よし買おう!

俺はその株を2500円で買う。
…結果はもちろん株急騰。
「この値段であの内容。―安いぜ!」

演目は『百千万(モモチマ)』。
場所は賑やかなんだか寂れてるんだか、
さっぱり分からないの王子の駅前の王子小劇場。

一人の女と七人の男で綴る物語。
原発と演劇の物語。
世界と個人の物語。
デリカシーとタフネスの物語。
コメディーとシリアスの物語。
言葉と肉体の物語。
裸と童話の物語。
会話とエンタメの物語。
バカ丸出しと微かな哀愁の物語。

そして、観た事があるけど、観た事がない物語。
芝居として。ドラマとして。劇として。
そう、“演劇”として…。

手作り感いっぱいの立て込んだ舞台セット。
客席はゴザ。客電は裸電球。
…味付けはアングラ風味か。

役者は動く。
ハードな肉体訓練をしているのがよく窺える。
ビシバシ決まる動きと踊り。
…そういうタイプの劇団。

笑いの質は、巧みなやり取りというよりは、
ドタバタに加味されたシュールな笑い。
…力技。

あるシーンで、ほぼ全裸の男たちが劇中劇をやる。
ほぼ全裸も見慣れた風景。
…裸か。

笑いにシリアスなテーマが浮き出す。
演劇の有効性に主題は進む。
…また、バックステージものか。

俺は観た事がある。このような演劇を。
それこそ数多く。飽きるほど。
だから、例え劇団名がシカゴロシであろうとも、
中身が何かを与えてくれないと困る。
伝えてくれないと困る。
飽き飽きしたもののために投資はしたくない。

“鹿殺し”の奇妙で魅力的なネームだけのために、
2500円を払うほど平和ではないのだ。俺は。

「でも、ネーミングだけで行こうと思っただろ?」
「あ、そうだった」
「やっぱお前、平和なんだよ。平和、平和」
「いや、そうじゃない!何となくあったの」
「何が?」
「俺の嗅覚」
「嗅覚?」
「ネームだけじゃない面白さ」
「何だよ、それ?」
「ネームに付随する面白さというか」
「付随?」
「中身も面白いと思える俺の感みたいなものだな」
「…感?」
「そう」
「感かよ!」

そして当たったのだ。俺の感は。

何がこの鹿殺しを面白くさせているのか?
こんなに興奮するほど面白くさせているのか?
一見、ありきたりに感じる舞台要素を、
俺の心の中で反転転覆させ、
何が観ている俺を動かすのか?
小躍りさせるのか?

当日パンフのあいさつ文で、
演出の髭の子チョビンが書いている。
(ちなみに髭の子チョビンは女の人です。
舞台上では紅一点の女優さんです。でも
チョビンなのです。おまけに髭の子なのです)

髭の子チョビンは言う。
自分たちはみんな「自由」だと。
そして、この世界では「何かのせい」で
不可能という事は「悲しいことに」ありませんと。
…ありませんと。
だから「しっかりと」やっていかねばなりません。
…というような事を書いてある。

う〜ん、一読すると分かりそうで、
よくよく考えると分からない文章なのだが、
もっとよくよく考えるとよくよく分かる。
特に芝居を見た後に読むと。よ〜くよく。

モノはありきたりなのが当たり前だ。
ありきたりなモノはありきたりとして存在している。
元来モノはありきたりだと考えた方が分かりやすい。
…つまり新しいモノなど無い。

新しくないと人は飽きる。
新しさを人間は求めている。
でも新しいモノなど、実は何処にも無いのだ。

しかし、人は飛びつく。
モノに。
新しいと感じたモノに。

新しいと感じたモノの実態は“構築”だ。
ありきたりなモノの再構築が新しさを誘引する。

それは冷蔵庫の残り物で、腕のいいシェフが
とっても美味しい料理を作り上げるように。
転がる廃材で名大工が歴史建造物を再現するように。

ではでは、再構築には何が必要か?
全部、髭の子チョビンのあいさつ文に書かれてある。

自由と可能性としっかりやる事だ。
特に「しっかりやる」という言葉は重い。

芝居のラストは、踊りも絡んで
飛び散る汗で盛り上がる。
出演者からの強要アンコール(笑)のあと、
かっこいい男たちの中で(そう!ここの男優陣は
かっこいい!)、それまで劇中では少年役だった
髭チョが、ジャケットにスカート姿で歌い出す。

その姿に、あれ?あのかっこいい世界はどこ行った?
と、髭チョに失望しかけたが、いやいや…。

凄い歌声。
凄い歌いっぷり。
そして、凄い意志。かっこいい顔。鋭い目。
目!

その髭の子チョビンの目につられて、
男優たちの顔を改めて見回す。
ここにも目!

「悲しいことに不可能は無い」と語る目。
断定、断言、断罪する目!

そこには間違いなく、
鉄槌の意志によって貫く演劇への闘争心がある。
―かっちょええ〜!

久々に知らない劇団の公演を観た俺だったが、
いい芝居に巡り合えて良かった。
こういう舞台に飢えていた。

やっぱり、演劇っていい。
…シ・カ・ゴ・ロ・シ…
か!


2005年06月24日 (金) 04時45分





voice102■GET BEHIND ME STAN


    RES 
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[168]おなまえ:おーはし
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ホワイト・ストライプスのニューアルバム。
タイトルは訳して『悪魔よ、俺の後ろにつけ』。

メンバーは、ジャック・ホワイトとメグ・ホワイト。
ふたりだけ。この人たち兄妹。
楽器もギター、ドラムのみ。ベースはない。
他にはたまにピアノが入るくらい。
そう、異様に楽器と音数が少ないのが特徴。
…ただし今回はマリンバを入れている。
まりんばかよ〜!

前作『エレファント』は全米チャート6位。
でもって、グラミー2部門受賞。
世界中の音楽誌でアルバム・オブ・ザ・イヤー。
…けど、日本ではあまり売れなかった。

俺は買ったけど、正直ちょっと取っ付きにくい。
聴くのに厳しい音だなぁ、が感想。非大衆的。
…いい曲もあったし話題になるのも分かったけど。

で、今回のサタンっすよ、サタン!



M1
「ブルー・オーキッド」

初めて聴いて、何これ!何これ!何これ!何これ!
と俺は舞い上がる。頭上に雷が落ちて来る。
…カッコいい。
このカッコ良さは何なのだ〜!!!!!!!
まだ足りん!―!!!!!!!!!!!!
まだまだ!―!!!!!!!!!!!!!

ホワイト・ストライプスの新曲と知り、暫し唖然。
そして、感動。感激。武者震い。
…マジ、全身が震えた。

ギターとドラムのみで演奏されているこの曲。
OPは、まるでヘリコプターみたいなドラムの連打。
そして、ギュン!ギュギュギュギュッギュン!と
涙が出るようなギターのリフが繰り出される。

それにボーカルもドラムも絡みまくり、
キレるぜ、キレる!キレキレるるるるるる!

何でギターとドラムだけでここまでやれるんだろ?
…ジャック・ホワイトって何者?

M2
「ザ・ナース」

マリンバとボーカルの静かでのどかな曲調に、
いきなりギターとドラムの衝撃音が入り込む。
信頼と裏切り、そして恨みの歌。

1:19〜のギター、ドラムの
ドカ!ドカ!ドカ!が痛い。痛過ぎ!

1:25〜歌われるのは、
「絶対絶対絶対、裏切らない」という歌詞。
加速される詞のリフレイン。…怖い。

2:16〜のギターは泣きまくり。悲痛なギター。

そしてラストは、絶対のリフレイン後、突然終わる。
ブチッ!
…平穏と緊張と破壊の音楽。名曲!

M8
「インスティクト・ブルース」

えぐるようなブルースロックに乗せて、
コオロギも分かっている、蟻も分かっている、
豚も分かっている、ハエも分かっている、
カエルも分かっている、カナリアも分かっている、
イチゴも分かっている…と、ひたすら繰り返される。

そして、自分も分かりたい、君も分かりたいと
ジャック・ホワイトが言う。

何を分かるのか?
その何かは全く記されていない。
…たぶん真実?
…生きる事の?
ダークでハードな音がそんな事を想起させる。

1:55〜のためがいい。心臓ワシヅカミ!
やっぱ、ブルースはためでしょ、ため。

2:52〜のギターとドラムの
ボンボンボンボン、連打ためもワシヅカもの。
(ところでクボヅカは何やってるんだろ?)
とにかく、ためだぜ!ため、ため!

そして静寂の音。その中での一言。
3:41「君にも分かって欲しい」―ドキリ。

M12
「レッド・レイン」

このホワイト・ストライプスはよく、
レッド・ツェッペリンを引き合いにされるようだが、
一番それっぽい曲がこれかな。

ギター、ドラム、ボーカルの吐き出しぶりが
懐かしのツェッペリンサウンドを思い起こさせる。

ラスト近くの音のうねりは凄い。
寄せては繰り返す波の如し。
…じっと聴いていると飲み込まれそうになる。
迫力120パー!

M13
「アイム・ロンリー」

母を思う。…会いたい。
妹を思う。…愛してる。
彼女を思う。…悲しくなる。
友達を思う。…必要なんだ。
そして僕は淋しくなる。
でも、まだそこまで淋しくない。

ピアノに乗せて歌うジャック・ホワイト。
とても綺麗で哀しいバラードだ。

3:10〜歌声とピアノの音がか細くなる。
後悔を胸いっぱいに川を見下ろし、
意味など残されていないと川に体を浸す。
肺に水が入る直前に川から出る。

…そして僕は淋しくなる。
でも、まだそこまで淋しくない…。

淋しいのは確かだ。
でもまだ、“そこまで”俺は淋しくはない。
笑っちゃうほど哀しくて、
笑っちゃうほど前向きな俺の歌。

…そうだよ、これは俺の歌なんだよ。
悪いかよ!へんっ!(涙)



他にもいい曲がいっぱい詰まった全13曲。
ポップの最高峰。
間違いなくロックの名盤。

コンピューターだの打ち込みだの、ある種、
規格化された今のロックシーンで、こんなにも
少ない楽器で、こんなにも少ない編成で、
こんなに素晴らしい作品が生まれるって…。
まさに【奇跡】に近い。

塗り固めて塗り固めて、
飾り立てて飾り尽くして、
それでも足らずに、身にまとう。
化粧を。衣服を。精神を。

…でも負けるんだ。
塗らない。飾らない。まとわない。
そんなシンプルに負けるんだ。

それをこのホワイト・ストライプスが証明した。

…ところでこのアルバム、
ジャックが恋の破局で傷心の果てに作ったらしい。
お相手はレニー・ゼルヴィガー。
『シカゴ』の女優さんね。

シカゴはいい映画だったなぁ。レニーもいいけど、
やっぱ、キャサリン・ゼタ・ジョーンズだよな。
牢獄で女囚が踊るシーンはさいこー!せくしー!

そう言われてみると別れた女に対する、
恨み辛みも含めた歌詞が多い。
とっても観念的な詞なんだけど。

…恋は人間を転がす。
…恋は人生の起爆剤。
…恋は魂、エモーション。

最強最高のロックアルバムの源となったのは恋か?

ちなみにレニーは別れた後、
早々にカントリー歌手と電撃結婚し、
ジャックも先日、イギリス人モデルと結婚した。

いいよな、せれぶは!
離れたりくっ付いたりよ!
いぬかよ!ねこかよ!おめぇ〜ら!

…でも、いいんじゃない?…恋は。
やっぱ、へんこー。

これで行こう!
『おーはしよ、せれぶの後ろにつけ』


2005年06月17日 (金) 22時27分





voice101■映画『イン・ザ・プール』


    RES 
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[167]おなまえ:おーはし
------------------------------------------------
で?
それが?
それが何なの?

以上、感想。
映画の『イン・ザ・プール』のね。

何でこんな無味無感動になったのか?
…やっぱ、松尾スズキだろうな。
松尾がスズキなんだな〜。
スズキが松尾までなんだな〜。

別に松尾さんに対して悪意はない。
いい役者さんだと思う。
『マンハッタン・ラブストーリー』の中で、
松尾スズキが発した「まじかよ」という一言には
強烈な印象がある。ずっと覚えている。
…戦慄のセリフ回し。驚愕の間。絶品の表情。

小説と映画の違いをあれこれ言うつもりはない。
同じ作品でも受け手に表された作品としては別物だ。
だから主人公の伊良部が小説の印象と違っても、
それはそれでかまわない。
むしろその違いが楽しみなのだ。

だが、これだけは外さないで!というものがある。
【伊良部】という【人物】を俺は見たい。

俺は松尾スズキという役者を見るために
映画館に行ったんじゃない。
伊良部という医者を見に行ったんだ。映画館に。

つまり、映画の中の伊良部は、
“医者・伊良部”にまで消化されていなかった。
物語の中の人物として立ち上がっていなかった。

それはひとつに、シナリオを読んでいても
感じたのだが、伊良部の患者に対する目線が
ちょっと分からないのだ。

どんなに変なキャラクターの精神科医でも、
“患者対医者”という一線、ラインがある程度まで
きっちりしていないとまずいんじゃないか?
そのラインが見えないとただのふざけた関係に
なってしまうんじゃないか?
…結果は“役者自身”のキャラばかりが目立つ事に。

まあ、ねぇ。
それでもいいのかもしれないけどねぇ。
木村拓也がレーサーやろうとホッケーやろうと
キムはタクだ!っていうのもあるし。
それでも楽しめたりするもんね。
松尾スズキを楽しむ分にはいいのかもしれない。
ファンとしては。

でも作品としては?
…?????

あとさ、**男のオダギリジョーの**
何とかならないものでしょうか?
―もっとテントをピーンと立てろっつうの!

これ、映像表現としてやばいからか?
でも、半裸急所黒丸は平気でやってたぜ。
…テントは隠されている分、逆に生っぽい?
…ま、分からないでもないけど。
…でもリアルじゃねぇよ!

いい男がまぬけな格好をさらすのは
いいもんじゃん。爽快じゃんよ。
…別にオダギリジョーに恨みはないけどさ。
もてない男のヒガミとして言ってみた。
ははは。

で、ね、…もうちょっと飽きて来たかな。
ガハハ!と笑うのではなく、
微妙なニュアンスを感じながら笑う事。
どっちつかずの些細なやり取り、ズレ、間…。
もういいかなと思う。

松尾スズキ他、ふせえりも岩松了もきたろうも
充分いい役者なんだけど。
実際、俺、グス!って笑ったけど。

あ、これって役者のせいじゃないか。
脚本や監督か。

思い返すと、俺が最初にそのような笑いを
感じ取ったのは、森田芳光の『家族ゲーム』。
松田優作主演の映画ね。

真面目な作品だったけど、
同じコンビの映画で『それから』も良かったな〜。
サントラも今でもあるもんね〜。
CDじゃないぜ、れこーど盤だぜ〜。

『家族ゲーム』からあのビミョーさが
どんどん出て来たように思う。

でも、もう、いいや。
おなかいっぱい。

もっと、がっつり笑わしちくれぇい!
がばっとコメディーを見しちくれぇい!

あくまでも比べているわけじゃありませんが、
小説『イン・ザ・プール』は笑いました。
続編の『空中ブランコ』はその5割増しです。
がばがばがば。


今週、またまた画期的な小説に出会う。
伊坂幸太郎『ラッシュライフ』。
…あと50ページほどで読み終わる。
どれくらい画期的かというと、もうすでに、
現段階で、
「もっかい読みてぇ!」


2005年06月10日 (金) 21時48分





voice100■あくちゃりままちゃり


    RES 
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[166]おなまえ:おーはし
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朝起きて、おもしろいのかつまんないのか、
さっぱり分からない『四日間の奇蹟』を途中まで読む。
おもしろくなってくんないと困るんだけど。

お昼、家を出る。
玄関先にとめてある俺のままちゃりにまたがって。
まるで忠実な番犬のような俺のままちゃり。

下北に寄ってレコファンでホワイト・ストライプスの
新譜を買った。うわさの問題作。聴くのが楽しみ。
ラジオから流れた先行シングル『ブルー・オーキッド』。
俺はぶっ飛んだ!…凄いんだよ、この曲。

新井薬師までの道をこきこきこきこき。
雨になる予報だったが薄日が差して来る。いい気分。

一週間前のこの日はちょ〜大変だった。

喉から来た風邪で金曜日からダウン。
悪寒は走るし、頭痛もガンガン。
熱も相当あったんじゃねぇの?
…体温計無くて分からんかったけど。

結局仕事も二日も休んでしまい、
月曜日の午前中まで寝たきり状態。
…死ぬかと思った…。

本当にボクはこのまま独りっきりで
死ぬかと思ったよ〜ん!(なきなきなき)

大体さ、あれだよな。こうなる予感はあったんだ。
木曜の夜にさ、風邪気味だったのに酒で直したろ!
とばかりにごくごくビールを飲んじゃってさ。
すっかりいい気分でネットサーフーしてたら、
ビールがどばっ!とキーボードの上にこぼれた。

やべっ!!!

ティッシュやらタオルやらで水分取って、
ドライヤーで熱風ごー!したりしたけど、
ダメなんじゃねぇの、これ…。

やけになって更にビール飲み続けてさ。
寝たのは三時ぐらいか。…ははは。

風邪が治っても、PCは直らない。
買い替えを考えてチラリチラリとショップを
のぞき出したのが今週頭。

四日間じゃないけど、何日間の奇蹟だろう?
な、な、な、な、な、なんと!
ビールぶっかかりPCが復活したのだ。

がお〜ん!

まだ起動時が安定していないけど、
キーは打てるし、ネットも見れる。
ばんざい!ばんざい!ばんざい!

十万以上の出費を覚悟していたから
涙が出るほどうれしかったよ。うれしかったよ。
うれしかったよ。うれしかったよ。

な〜んていう先週続いた地獄からの帰還で、
本日のままちゃり運行も快適、快適。
中野通りの歩道をすいすいと運行していたら、
対面のミニサイクルと鉢合わせ。

俺が右に抜けようとすると、相手はそっちに。
慌ててハンドルを左に切るとミニも同じ向き。
…運行停止。
…相手がチッ!
…はい?
…チッ?

野郎、チッ!て舌打ちして通り過ぎやんの。
あんじゃ、おら!!!
おめぇが悪いんじゃろうが、こんガキゃ〜!!!

そう言えば、ここ一月ぐらいで俺は
二度も舌打ちされていた。
駅の通りすがりの若もんとさ、
レジで並んでたうしろのオヤジによ!

…俺は舌打ちされやすいタイプなのだろうか?
…そういう顔をしているのだろうか?
…すぐごめんなさいっていう顔なの、俺?

―いかん、弱気になっとる!

そりゃキレやすい奴が多いよ、最近は。
でも俺もキレやすいんだよ。
俺の方が遥かにキレやすいんだよ。
俺は【元祖キレやす人】なんだよ。
なんたって、子供の頃から
カルシウムとビタミンが足りないからよ!
生まれつきキレやす人なんだよ。

俺はぁ〜!
正真正銘のぉ〜!
キレやす人なんだよっ!ばかやろー!!!

そんなキレやすい俺が
いい気分もいや〜な気分に変わり、
ムカムカしながら、新井薬師の劇場に着く。

コスモル公演『あくたりあくちゃり』
…おうおうおう!都合良くヤンキーものやんけ。
ほとんどの出演者がヤンキーやんけ。
ええで、ええでぇ〜!かましたれ〜!!!

…あ、でも、やべ。

開演して約20分間ぐらい。やばい。
芝居がカラ回り気味。

昨年秋、ここの劇団の公演に俺は出たのだが、
観に来た知り合いに、シーンシーンが
バラけていると言われた。バラバラ事件。

…これだね、きっと。
一個やったら終わり、一個やったら終わり。
その一個ごとの繋ぎがうまく運んでいない。
だからシーンごとに終わりが来てしまう。
これは脚本じゃないだろうなぁ。
役者とか演出の問題だろうなぁ。

この先、眠くなりませんように。

で、20分ぐらいが過ぎる。
…眠くならない。
…目がさえて来た。
…おもしろいやんけ、われ〜!

一個終わり一個終わりパターンを潰したのは、
石橋せんせいと砂糖しゃちょうと加地しょうぐん。
この三人の役者がいい。
魅せる、引き付ける、持って行く。

芝居もヤンキーものからアイジョウものに変容。
悲痛な叫びのヤンキーが哀しい。

ひょっとしたら、冒頭のバラバラ事件も
ステージ回を重ねれば解消されるかもしれない。
そんな感触さえ受ける中盤以降。

で、結局さ、俺、思うんだけど、
このコスモルの芝居って何がいいって、
個性的なのがいいよな。
それも激個性。
ちょっとこういう芝居やるところってない。

全体的なものもそんな感じは受けるけど、
今回特に象徴的なのはラストシーンだよな。
…え?ここで終わり?
…これで終わりにする?
…この終わり方って?

もちろん俺的には好きなラストだったけど、
あの切り方はやろうと思ってもまず出来ない。
作演のケンショクヨー、極個性。
無政府主義者。

だからこそ、万人が認めるコスモルとは
いかないのかもしれない。
たっぷりこってり、こゆくこく個性的過ぎるのだ。
…でもあれだね。きっといつかはこの劇団、
メガヒットを飛ばしてくれるんじゃないかな?
また、俺はそれを望んでいる。

すっかりコスモルヤンキーワールドに
浸かってしまった俺は、再びいい気持ちとなり、
ままちゃりこきこき家路を急ぐ。

元祖切れやす人の感覚を取り戻した俺は、
チッ!っと言ってくれる獲物を探したがいない。

獲物は忘れた頃にやって来る。
雨も忘れた頃にやって来る。
…家に着いたら降り出して来やがった。
ラッキーこの上なし。

あとは獲物を待つのみ。
でもチッ!言われてもマジギレしないんだろうな。
言い返したり、どついたりしないよ。
…実際には。

大人だしさ。俺、心のヤンキーだからさ。
元祖アイジョウ人。
ぴーす。


2005年06月04日 (土) 20時07分





voice99■煙か土か食い物


    RES 
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[165]おなまえ:おーはし
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流れ的に今回は、映画『イン・ザ・プール』のはず。
…でもベイビー…
予定していた上映時間に間に合わなかったぜ、
ファッキュー!

仕方無しに本屋に入って、最近流行りの
とうてんおすすめのぷらかーどのうたいもんく
に誘われて買った一冊の小説。
…半日で読み終わる。

題名は『煙か土か食い物』。
作者は舞城王太郎。マイジョウオウタロウ。
マイジョウ
マイジョウ
マイジョウ
マイジョウ!!!

速いよ、マイジョウ!
…何が速いかって?
…展開?
もちろんそれもあるけどマイジョウ、
速いのはあんたの文体だ!

とにかくスラスラ行く。一息に読める字数が多い。
三行ぐらいなら一気!

ひとつには読点が殆どなく、句点だけで
占められているって事もあるけど。
例えば、
腹減った何か食べたいたまらない。
…んな感じ。

それよりも“圧縮”かな。
感情や物事を圧縮しての文章化。
かと言って
難しい文言や単語を使っている訳じゃない。

簡単だぜ、マイジョウ!

で、物語の語り口の感じだけど…。
頭から10ページほど読み進め、
すぐにこの感触は何だろう?と考え込んだ俺。
何だろう?
何だろう?
何だろう?

あれだ!
ものすごく弾力があって伸縮するようなもの、
例えばクッションみたいなものを、ダンボール箱に
ぎゅう
ぎゅう
ぎゅう
ぎゅう
ぎゅうぅぅぅぅぅぅぅぅー!
と詰め込んで密封して、それをいきなり開けた感じ。

ぱかっ!
びょんびょんびょんびょん!
どばどばどばどばどばどばどばー!

マイジョウオウタロウの暴れたくて仕方なかった、
その才気がダムの決壊のように溢れ出る感触。
…そんな感触が物語全体に充満している。

だからやはり圧縮なのだ。
マイジョウは一文にその英知を圧縮して提示する。
だから速い!

平易な文章なのにハイプレッシャー!
感情と物事と背景がスイスイ疾走する。
疾走!
快走!
爆走!

これはあれやね、
「マイジョウオウタロウの肉体的頭脳が
吐き出したくてウズウズしていた言葉のダンス」
やね。

…言葉のダンスやて。
こんな言葉、使った俺が恥ずかし〜!

基本的には横溝正史?
この家族的因習的因果的どろどろ感。
小説舞台も福井県だし。

でもベイビー!
主人公はサンディエゴのER医師だぜ。
チャッチャッチャと患者を切り刻み、
チャッチャッチャと縫い合わせ、
チャッチャッチャと一丁あがり。
…自称、医療の神。

そんなチャッチャッチャ野郎が
連続主婦殴打事件で母親が被害者となり、
物語はチャッチャッチャと進んで行く。
…福井県で。

もう、螺旋状の犯罪現場だの、
点字のメッセージだの、シーザー暗号だの、
ミステリ小説を引っ張るための材料なんか
どんどん惜し気も無く出すマイジョウ。
どんどん平気で解く主人公。
それこそ、チャッチャッチャとね。
―オー、マイガッ!

そんなダンシング主人公と八つ墓村的家族の
みっくすみっくすどろどろぽん!が面白い。

…でもマイジョウ。
…言い難いけどマイ・マイジョウ。

人は死んだら煙か土か食い物になる
って言う考えに対するアンサーが
人は死んだら誰かの思い出になる…なの?

嫌だよ、マイジョウ。
嫌いだよ、私のマイジョウ!

あんたにはそんなアンサーは似合わない。
あんたにそんなアンサーを求めない。

そんなありきたりの解釈は他の作家で充分!
…マイジョウはロックでいないと。
…ロック的なリフで決めないと。
…それもややラップがかったロックンロールな。
↑ここ重要。

でもよ〜!
ちくしょう〜!
気になったのはそこだけ。
ビバマイジョウ!ハレルヤマイジョウ!

負けたぜ、俺よりも十も若けぇ〜奴によ。
若い感覚ってよいねぇ〜(おじさんおーはし)

小説がリズムを。小説から音楽が。
または
音楽が言葉を。音楽から物語が。

異なるものが異なるものを生む事は
間違いなくあるんだぜ。
ファッキュー!
ファッキュー!
ファッキュー!


2005年05月23日 (月) 23時00分





voice98■シナリオ『イン・ザ・プール』


    RES 
-------------------------------------------
[164]おなまえ:おーはし
------------------------------------------------
例えば、継続性**症…
つまりあそこが立派なまま(笑)の男が
泌尿器科の医者に、これは不治の病ではなく、
記録によると最長でも180日間で
治ると言われる。その映像に男の声が被さる。
「180日…」

男は悲しんでいるんだろうか、
唖然としているんだろうか、
嘆いているんだろうか、怒っているんだろうか?

ま、そのどれも有りだろう。
何しろあそこが立派なままなのだから。
さいあくのびょ〜き。
なりたくないびょ〜き。
びょ〜きといっていいかまようびょ〜き。

「180日…」という声のあと、
小説だとこういう風に続くかもしれない。

「180日…」男は顔をゆがめ医師から視線を外した。
または、
「180日…」男はそそり勃つ股間の如く立ち尽くした。
な〜んてね。

だがシナリオだと声のあとの部分は無い。
「180日…」で終わり。
すぐに次のシーンに移って行く。
だから読者はいろいろ想像しなくちゃいけない。
小説なら続くであろう部分を。
…あ〜、面倒くせぇ〜。

ま、この**男の一言などは
まだ想像しやすい方で、
黄色い部屋で妻がくるくる回る夢だの、
落っことしたカップラーメンのくだりだの、
伊良部が涼美の鼻を触って「汚ね」だの、
面白いことは何となく分かるが、
その細部のニュアンスは結構な想像力を要する。
…読みにくい〜!

だからシナリオ本は書店には少ない。
少ない上に、あっても隅っこに追いやられている。
つまり需要が無いのだ。
出版しても売れないから。
最近の作家で出版されているのはクドカンぐらい。
あの井上由美子のシナリオ本すらないもんね。

ちなみに、この『イン・ザ・プール』は
月刊誌「シナリオ」に掲載されていたものだ。

なんで売れないかと言うと「面倒くせぇ〜」から。
なんで面倒かと言うと、それが完成してないから。
シナリオは未完成の作品。完成品は映像。
映像作品になるためのひとつのパーツがシナリオ。

シナリオは映像製作に関わる人々に向けて
書いてあるのであって、決して一般読者に
宛てられているものではない。当然、文章把握に
相当な想像を強いられる個所が出て来る。

これって、当たり前だけど芝居の戯曲も同じだ。
面倒くせぇ〜想像作業を
演出と役者とスタッフがやるのだね。

だからいい脚本っていうのは、
その作品に携わる人々をいい具合に
想像喚起させてくれるものだろう。

言いたい事をいっぱい書けば
それでいいってもんじゃない。
…と、書き過ぎ傾向の俺は、ますます要注意。

でもシナリオには別の楽しさもある。
**男役のオダギリジョーは
「180日…」の時、どういう顔をして、
監督の三木聡はどういう演出をするんだろう?
…などと言う楽しみ。完成映像期待。

連作小説『イン・ザ・プール』の中の三本を
下敷きに映画化すると知った時、
俺は三話のオムニバス?と思った。
が、シナリオも書いている三木聡と
プロデューサーは、三つの話を同時進行させて
構成しようと話し合ったそうだ。

結果、この『イン・ザ・プール』は
小説とは別物になった。
…ぜんぜんちがう〜!

違いは伊良部先生キャラにも及ぶ。
しゃべり過ぎ。
俗っぽ過ぎ。
ギャグやり過ぎ。
…てか、ギャグの方向性が違う!

これはもう、奥田英朗の伊良部ではない。
三木聡の伊良部一郎精神科医だ。

それにこの役は松尾スズキがやるしね。
…原作では色白のデブだったのに。

脇を固める役者は、
きたろうに岩松了にふせえりに…。
ほぉ〜ら、なんとな〜く、匂って来るぅ〜。

「くすぐってぇ〜」…みたいな。

物語での立ち位置も違う伊良部。
冒頭、「精神科医の役割は異常さとの共存」と
言うようなセリフがある。

その通りに、患者とワイワイ共存しているのが
映画の伊良部。
小説だと患者が治るための意味合いとして
伊良部がワイワイしている感じ。
ま、どちらも患者のそばにいるんだけど。

…これって、
患者と一緒にいてあげる事の大切さを語ってる?

小説とは違うからと言って、
不思議と俺はガッカリはしなかった。
このシナリオには充分、独自の面白さがあるし、
三つの話を絡ませる構成もなかなか良い。
…ラストシーンはとっても鮮やかだ。

映画を観るのが楽しみ!

あ、前回書き忘れていた事。
本の表紙がニルヴァーナ『ネヴァーマインド』の
ジャケ写っぽいんだよ。…おしゃれ!


2005年05月20日 (金) 19時24分








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