「じゃあ明日からよろしくね」
「はい,よろしくおねがいします」
俺とユリちゃんは家が近くて,小さい頃から一緒に遊んでいた。
そして,2人とも美容師に憧れた。いつか一緒に働こうと約束した。
その約束が,いよいよ明日から始まる。
「ねえ,ユリちゃん」
「は,はい!」
「その…………あ,俺が初めてユリちゃんの髪をカットした時のこと覚えてる?」
「はい,ありましたね」
「少し整えるだけだったのにガタガタにしちゃって」
「あの後しばらくショートヘアでした」
「本当にあの時はごめんね」
「いいんです。あの時の自分も好きですから。それに……」
「それに?」
「初めてマコトさんにカットしてもらったんですもん」
「そ,そう」
違う。どうしてこんな他愛もない話をしているんだ。
今日はもっと言わなければいけないことがあるだろう。
「あのさ」 「あの」
「あ……ユリちゃんから」
「いえ,マコトさんからどうぞ」
「俺達は小さい頃から本当に仲が良かったよね。
俺は弟しかいないからユリちゃんが本当の妹みたいだった」
「妹………」
「それに,俺は……」
「あ,ごめんなさい。私もう帰ります。おやすみなさい」
「お……おやすみ」
はぁ,結局言えなかった。やっぱり回りくどくなってしまう。
そうだ。もう帰っているだろうから電話をかけて言おう。
「Trrrr Trrrr........」
出ない。どうしたんだろう。ユリちゃんに何かあったのかも。
直接会って話そう。
「あ!」
ドアを出てすぐのところでユリちゃんがうずくまっていた。
「どうしたのユリちゃん。ずっとここにいたの?」
ゆっくりとこちらを向く。目に涙を浮かべていた。
「やっぱり,さっき話したこと?」
「…………はい」
「あの時,ユリちゃんは何を言いかけたの?」
「マコトさん……が私を………どう思っ………ウゥッ」
「俺はさっき全部話せなかった。俺はユリちゃんが好きだ」
「嘘……嘘です。そんな………」
「本当なんだ。小さい頃からずっと変わらず思ってきた」
「私も……です…………ウワーン」
「泣かないで…………もう,帰る?送ってあげるよ」
「いえ……………………泊めてください」
「ああ,いいよ」
【コメント】
それにしても自分の書くユリちゃんはよく泣く。そして胸が小さい。
たまに大胆な事ができる。そして胸が小さい。
敬語が愛くるしい。そして胸がc(以下略)
この晩何が起きるかは皆様の想像にお任せします。