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ポップンノーマルCP小説

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過去ログ(五十音順)

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ジェフアニジズシルシャーサファジャク壱ジャスメルスギリエ
ステラ×女の子スマリデセシベルソウ&ミル,オキスミ&ソウ
ニキユキハニニナハヤツラヒグリゼヒュ翼文彦×少女
ヘンポエポルエルポレプティマコユリマモ花陸菫
メメキラユリムラユンマユリュタミミロミパ


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(4) ジャク壱「相愛」 投稿者:

「ねえ,ジャック」
「ん?どうした,壱?」
「私,ずっとジャックと一緒に居たいノ」
「おおそうか。じゃあずっと,な」

いったいどっちの感覚で『ずっと』と言えば良いものやら。
壱にとっての『ずっと』は俺が生きらんねえくらいずっとだし,
俺にとっての『ずっと』は壱には一瞬だもんな…………
やめやめ。この話やめて,もう寝よう。




壱は俺より早起きだ。起きるとすぐに歌を唄う。
昔は血の涙を流す歌なんかを唄っていたが,今日は愛する男を想う歌だった。
……最近おかしいと思っていたがついにイカレたようだ。

そういえば,花に対する扱いも変わってきた。
前は花を人形に見立てて遊んでいたんだ。
「頭をモぐ,足をヘシ折る」と言いながら。
でも,だんだん花を眺めるようになってきた。
この前,花を根っこから引き抜いていた時には
「ああ,やっと壱らしくなったか」と思ったら,それを束ねて俺に渡した。
なんなんだいったい。




「おーい,壱ー。そろそろ整備でもしてやるよ」
「ううん,いい。自分でやるカら」
「そうか。ほら,道具」
「じゃあ向こうでやル,覗かないでネ」

い,今の表情は何だ?
まるで恥ずかしいみたいじゃないか。
………………………………?
「あっ」
そうか,昨日の話はそういうことだったのか。
じゃあ最近の壱の行動は…………
俺,今の壱なら好きになってもいいかも。

「私の頬を涙が伝うわ 紅の奇妙な涙,止め処なく
 ああぁ,痛い 焼かれる 私の目から血の涙………」

壱の事を想うと血の涙の歌を唄いたくなった。
聞き取れない部分が多かったのに,なんだか全部唄えそうだ。
しかし,今朝の愛する男を想う歌を唄った方がよかったかもしれない。












壱が耳を劈かんばかりの大声で一緒に唄い出した。



















【コメント】
某所で出した文章がウケたので,それを元にして小説を書きました。
もっと壱の妙のセリフを多くしたかった。またこんど,ね。
血の涙とかは僕が持つあさき氏のイメージです。
・・・あさきファンのみなさん、ごめんなさい。結して変な意味じゃないです。
「奇妙な味の」という部分は「奇妙な果実」という音楽からとっています。


2004年04月29日 (木) 06時32分


(54) 「守護」 投稿者:

「まあ、この建物でいいか」
青年は呟いた。

彼の名はジャック。年はおそらく20代前半。
長身で、細身ながら鍛えられた体。頭には古びたガスマスク。
そして、何より目を引くのが胸に『極』と記されたシャツ。
ジャックはこの街の人間では無い。諸国を転々としている流れ者だ。
そして今、今晩の寝床を見つけた。
中は埃っぽく、まさに廃墟であった。
しかし

「なんだ。人がいたのか」

出てきたのはヨレヨレの白衣を羽織った中年の男。

「なあ、一晩泊めてもらいたいんだが」
「・・・ええ、まあ・・・・・良いですよ」







「おかしいでしょうか。こんなボロ家に1人で住んでいるなんて」
「別に」
「でも1人じゃ無いんですよ。ほら、そこ」

男が指す先には人形が置かれていた。
短くまとまった黒髪に、白く透き通るような肌。
黒を基調とした上品な着物を身につけている。
人間ならば溜め息の出るような美人だろう。
傷口を思わせるような赤い瞳を除けば。

「今は眠っているのかな。壱?壱?」

ジャックは内心笑った。とんでもない奴だと。
だが、その嘲笑は驚愕に変わった。

「ハ、イ」

なんとその人形が口をきいたのだ。

「壱の妙と言います」
「コ、コンバンハ」
「驚いたな。こんなの初めて見るぞ」
「最近、偶然会いましてね。今の私の唯一の同居人です」
「会話はできるか?」
「まあ、簡単な話相手にはなります」
「少し話をしてみたい」
「どうぞ。私は上にいますから」






「ふうん、見れば見るほど面白い。いや、珍しい」
「ハ、イ?」
「お前も誰かに造られたんだよな」
「オ、オマエ?ダレカ、カカ・・・」
「わかんねえか?いまいちだな」
「私ノ 『オマエ』ハ アナタ」
「おお、そうだそうだ」
「アナタ ダレ?」
「ジャックだ」
「私ハ 壱ノ妙」
「そうかそうか」


ジャックは壱の妙を少し愛おしく思った。
明日には出ていくのだから、せめてこの一晩くらいは
相手をしてやっても良いと思った。
ジャックは簡単な言葉でゆっくり話す。
壱の妙も理解しようと一生懸命に聞く。
ジャックがここに来てからかなりの時間が経っていたが、
そんな事を感じさせなかった。








突然、2階から大きな音がした。
雷が落ちたような音と、鋼がブチブチと引きちぎれたような音。

「電気事故か?」
「ジコ・・・デンキ・・・黒コゲ!」
「ちょっと見てくる」
「壱モ!」
「お前は危ないからここで待ってろ」



ジャックは嫌な予感を感じていた。
本当に事故なのだろうか。そもそもあの男はここで何をしている?
怪しい実験でもしているんじゃないのか。
偶然出会った、と言っていたが、そんな事はあるのか。
一体全体、何がどうなっているんだ。


2階の大きな部屋に明かりがついていた。
中は作業場のようになっており、棚には薬品や工具が並べられていた。

「おい、オッサン。いるか?」
「おや、どうも」
「今のデカい音はなんだ?」
「フフッ。フフフツスス。ツスハーッハッハッハ」
「答えろ。何があったんだ」
「ハハハ、失礼。ごらんよ私の努力の集大成を」

それは土色をした女の人形だった。
ボサボサの髪、大きく見開いた冷たい目、
縫い合わされた口に不均衡な両腕。
おおよそ好まれるような姿では無かった。

「で、努力の集大成とやらはこの悪趣味な木偶人形か?」
「そのとおり」
「壱の妙もアンタが?」
「もちろん」
「偶然会ったと言ったじゃないか!」
「さて、そうだったか」
「とぼけるな」
「フゥー、半年ほど・・・前だったか。私は1冊の本を拾った。
 その内容は東洋の人形作りについて。しかも人間並みのサイズの。
 本に記された通りに造ったところ・・・・」
「壱の妙ができあがった?」
「あれは試作品だ。ただ本に書いてある通りに造り、適当に育てた。
 壱の妙という名前だって本にあった通りだ。
 あの本はさらなる可能性を示唆していた。
 作り方次第でオリジナリティある人形ができ、
 応用次第で素材を問わない。そうだろう、涅姫?」
「ギィッ!」
「おまえはあの試作品とは違う。私が愛情を込めて造り上げ、
 こんなにも美しい姿に完成させた。」
「オッサン。壱の妙はどうするんだ?」
「あのバカは目障りだから処分するさ」
「て、てめえっ!」

ジャックは素早くナイフを構えた。

「そんなマネしたらブッ**
「邪魔する気か?掻き毟れ、涅姫!」
「グギィッ!」
「おらぁっ!」
「ヤメテ」

下に居るはずの壱の妙が上がってきていた。
ジャックはほんの一瞬動揺した。
その動揺によって隙が生じ、ナイフをはじき飛ばされた。
返す手で左へ吹っ飛ばされる。

涅姫は体を右によじらせて壱の妙へ突っ込む。


「ギィァッ!」
「キャアアァー!」

  悲鳴に吸い込まれるように、黒い影が走った。

「ギィィ!?」

涅姫の突きは届かなかった。ジャックが身を挺して守ったのだ。

「なんだ?その人形に情が移ったか?」
「テメエ、物を壊すのがそんなに楽しいか?」
「楽しいなあ。楽しいが何か?」
「道楽で壊す奴にはわかんねえよ」
「もういい、死ね。トドメを刺せ!涅姫」
「・・・・・グギ?」

両手の突きをジャックに止められる。
いくら押してもその突きが進まない。
それどころか押し戻されている。

「ギッ、ギガァッッ!」
「人形如き、止めるのは訳ねえ。 突!」

鋭い拳を受け、大いに悶絶する。

「グゲェッ、ガァッ」
「く、涅姫。力で駄目なら速さとリーチだ」
「フッシャアァァッ!」
「そんな奴に負ける訳が無い。ナイフははじき飛ばしているんだ」
「ナイフ?必要ねえんだよ。 轟ォ!」

  拳の一撃が土の塊を砕き、散り散りに吹き飛ばした。

「馬鹿な。丸腰の人間に涅姫が・・・・」
「丸腰じゃねえ。『素手』だ」
「涅姫、くろ・・・・わあぁ!」
「あばよ・・・・壱?」
「ハイ?」
「来るか?」
「ハイ!」









「ネエ、ジャック」
「ん?どうした?」
「ドウシテ私ヲ助ケタノ?」
「・・・よくわからねえ」
「情ガ移ッタ?」
「違う・・・こんな俺でも何かを『護る』ことができるって
 証明したかったのかもな。おかしいか?」
「オカシイ?オカシイニ ナッタ時ハ ドウスルノ?」
「ただ笑えばいい」
「・・・?  ツスハーッハッハッハ」
「いや、そんな笑い方はやめてくれ・・・・」
「ウフフッ」
「お、そういうのだ。できるじゃねえか」
「コレガ笑ウ。笑ウッテ楽シイ」
「世界にはもっと楽しい事がたくさんある。
 あんな屋敷のお人形ごっこじゃわかんねえ物がな。
 そんなのをできる限りお前に見せてやりたい」
「見タイ、見タイ」
「ああ。絶対に、な」


たとえ漠然とした夢であっても、壱の妙にとっては大きな目標だった。
巨大な世界へ出ようとも、ジャックという存在に護られていれば・・・・



















【コメント】
ジャク壱の出会いストーリーです。
所々、漫画のパロディを含んでいるのは秘密です。
君のように勘のいい子供は嫌いだよ、とか
アシ殺地蔵、とか。
そもそも壱の妙の話し方もこの人からとって・・・・。

自分が書いた中ではもっとも長い小説です。
ゲストキャラがこんなによく喋ることも滅多に無いです。

涅姫は「くろつちひめ」と読みます。
某からくり人形に、自分の趣味を合わせてできあがりました。
・・・・自分、悪趣味ですから。残念!


2005年04月05日 (火) 09時55分




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